研究課題/領域番号 |
20H00348
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
井上 振一郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 室長 (20391865)
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研究分担者 |
HAO GUODONG 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 主任研究員 (30773866)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2020年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 深紫外LED / 光取出し構造 / ファノ共鳴 / ナノ周期構造 / ウイルス不活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
深紫外LEDは、ウィルスの殺菌や水銀ランプの代替等において期待され、社会的に高い注目を集めている。しかし、コンタクト層で発生する強い光吸収や自己発熱に伴うドループ現象などによって、世界的に未だ低い外部量子効率、光出力レベルにとどまっている。本研究では、金属電極・半導体コンタクト層をナノ周期構造化し、多層系のファノ共鳴を介した特異な輻射場制御を行うことにより、活性層からの放射パターンを光取出し角度領域(光エスケープコーン)内に収まるように狭域化し、深紫外LEDの吸収損失の問題を解消する。さらに新たな液浸封止構造等を提案することで、真に水銀ランプの代替を可能とする深紫外LEDを実証する。
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研究実績の概要 |
深紫外LEDは、ウイルス不活性化や水銀ランプ代替等において期待されており、社会的に高い注目を集めている。しかし、コンタクト層で発生する強い光吸収や自己発熱に伴うドループ現象などによって、世界的に未だ低い外部量子効率、光出力にとどまっている。本研究では、素子内に電極・コンタクト材料による吸収体が含まれていても、ナノ構造によりLEDの放射角度を狭域に制御することで、シングルパスで深紫外光を素子外部に効果的に取出す手法の創出を目指している。2023年度の研究では、AlGaN系深紫外LEDデバイスの高効率・高出力化に向けた取組みとして、AlGaN/AlNエピタキシャル構造の結晶品質の改善に取組み、原子ステップレベルで急峻な高Al組成Mgドープp-AlGaN/AlNヘテロ構造を形成することにより、AlGaN/AlN界面に高濃度に誘起された2次元ホールガスの観測に成功した。これにより、高Al組成p-AlGaN(Al組成80%)のホール濃度の世界最高値を大幅に更新することに成功した。またさらに、ナノ構造により光の配光角を制御できる深紫外LEDを開発した。ナノオーダーの位相型フレネルゾーンプレート構造とAlGaNマイクロLED構造を組み合わせることで、光照射をビーム形状にコリメートした“高指向性” 深紫外LEDの実験実証に世界で初めて成功した。さらに本技術により、光取出し効率も約1.5倍に向上した。本成果により、深紫外LEDから発する光の無駄な広がりを抑えることで、人体等へのリスクが低減され、照射が必要な空間のみに精密に制御することが可能となる。殺菌から医療、情報通信応用に至るまで、広範な分野において、深紫外光を利用したアプリケーションの安全性、効率性、生産性を飛躍的に高める新技術として期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、当初の研究計画通り、概ね順調に研究は進行している。
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今後の研究の推進方策 |
深紫外波長帯(200~300 nm)で発光する深紫外LEDは、光によるウイルスの不活性化や水銀ランプの代替等において期待され、社会的に高い注目を集めている。しかし、電極やコンタクト層材料部で発生する強い光吸収と、素子内の局所的自己発熱に伴う光出力飽和現象(ドループ)という主に2つの本質的な課題のために、世界的に未だ低い外部量子効率、光出力レベルにとどまっている。本研究では、光吸収の要因となっている金属電極・半導体コンタクト層をナノ周期構造化し、多層系のファノ共鳴を介した特異な輻射場制御を行うことにより、活性層からの放射パターンを光取出し角度領域(光エスケープコーン)内に収まるように狭域化し、深紫外LEDの吸収損失の問題を解消する画期的手法の創出を試みる。最終年度である2024年度は、これまで開発した液浸LED封止技術と放射パターン制御技術を組み合わせることにより、高効率化とドループの抑制による高出力化を両立し、従来にない単チップで真に水銀ランプの代替を可能とする性能水準の深紫外LEDを実証する。
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