研究課題/領域番号 |
20H00361
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
奥野 喜裕 東京工業大学, 工学院, 教授 (10194507)
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研究分担者 |
小林 宏充 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (60317336)
藤野 貴康 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80375427)
高奈 秀匡 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40375118)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,330千円 (直接経費: 34,100千円、間接経費: 10,230千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2021年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2020年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | MHD発電 / エネルギー効率化 / 電力工学 / 省エネルギー / 電磁流体力学 / MHD発電 |
研究開始時の研究の概要 |
多様な熱源に適応する高効率クローズドサイクルMHD(電磁流体力学)発電の実用化研究において,研究代表者は,「シード」(作動気体への金属蒸気の微量添加)のフリー化というブレークスルーを世界で初めて展開するに至っている。本研究は,低環境負荷シードフリー高効率MHD発電の実用化を見据えた高性能化実証を一気に進め,その開発ロードマップを確固たるものにすることを目的とし,既存技術にはないMHD発電の特徴を生かしたエネルギーシステムの構築を通して社会貢献に資するものとする。
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研究実績の概要 |
本研究は,低環境負荷シードフリー高効率MHD発電の実用化を見据えた高性能化実証を推進し,その開発ロードマップを確固たるものにすることを目的としている。昨年度(令和4年度)は,1)希ガスプラズマ生成に必要な電力の見積もりと発電性能の統一的な評価,2)キセノンシードのプラズマ挙動と発電性能に与える効果,3)数値計算による実験結果の理論的裏付けと評価に取り組んだ。これらの成果を受けて,本年度は,下記の大きく4点に焦点を絞って遂行し,本研究を一層推進した。 1)キセノンシードネオンプラズマMHD発電実証実験の高度化 :キセノンシードネオンプラズマMHD発電実証の実績をさらに発展させるとともに,純ネオンや純アルゴンでの実験結果と比較し,そのプラズマ構造や発電特性の特徴,また正味の予備電離電力に与える作動気体依存性をより詳細に明らかにした。 2)キセノンシード希ガスプラズマMHD発電機内プラズマの安定性に関する数値シミュレーション : これまでの純アルゴンに加え,キセノンをシードした希ガスを作動気体とするMHD発電機内プラズマの安定性に関して,磁界に垂直な面(r-θ面)での2次元数値解析より明らかにし,キセノンシード希ガスプラズマMHD発電の特徴を明確にした。 3)数値計算による実験結果の理論的裏付けと評価 : 上記1)の発電実験に並行して,実験で使用する発電機,実験条件を模擬した数値シミュレーションを行い,発電実験結果の理論的裏付け,実験方針への定量的フィードバック,また改善に向けた具体的な提案を行った。 4)新たな予備電離手法の開拓 :これまで本研究で開発してきた誘導結合型高周波(RF)放電に代わり得る,あるいは併用が可能な新たな予備電離手法として,誘電体バリア放電(DBD)を用いた予備電離手法の有用性をMHD発電機の構造や運転条件を考慮した数値シミュレーションに着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は,令和4年度の成果を受けて,1)キセノンシードネオン(Ne/Xe)プラズマMHD発電実証実験の高度化,2)発電機内プラズマの安定性に関する数値シミュレーション,3)数値計算による実験結果の理論的裏付けと評価,4)新たな予備電離手法の開拓に着手した。 具体的には,1) および3) に関しては,Ne/XeプラズマMHD発電実験において,予備電離電力とともにエンタルピー抽出率が増加し,Xeシード率1.0%および5.0%において,5%程度のエンタルピー抽出率が得られた。この実験機を対象とした数値シミュレーションでは,適切な入口電子温度(入口電離度)を仮定すると,実験で観測されたプラズマ構造と類似し,エンタルピー抽出率が実験結果と同程度となり,実験結果を概ね模擬できることがわかった。また,実験機において入口電離度の向上により,20%以上のエンタルピー抽出率が得られ,純Arでの性能を超えることが示唆された。 2) に関しては, Xeシード希ガスプラズマにおいても,従来のアルカリ金属シードプラズマと同様に,発電機内に均一なプラズマが生成・維持され,同一の総合電離度の下では,同等の発電機性能が得られることを指摘した。ただし,Xeシード希ガスプラズマでは線形摂動理論からは不安定と判断される電子温度条件においても,電子数密度の特性時間が作動気体の滞在時間より長い条件で均一なプラズマが維持されることを明らかにした。 4) に関しては,誘電体バリア放電の生成過程をモデル化し,MHD発電機の構造や運転条件に即した数値シミュレーションに着手した。その結果,発電機入口で必要とされる電子数密度の2割程度まで達成できることが示され,更なる数密度増加に向けた改善策を含めその有用性が示唆された。 これらの研究成果は,当初の計画通りであり,最終年度となる次年度での本研究の総括に確実に資するものとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(令和5年度)は,当初の計画どおり,1)キセノンシードネオンプラズマMHD発電実証実験の高度化,2)キセノンシード希ガスプラズマMHD発電機内プラズマの安定性に関する数値シミュレーション,3)数値計算による実験結果の理論的裏付けと評価,4)新たな予備電離手法の開拓を進めた。これらの成果を受けて,最終年度となる次年度は,下記の大きく2点に焦点を絞って遂行し,本研究全体を総括する。 1)シードフリーMHD発電機の潜在力と更なる高性能化に向けた指針の明確化 これまでの研究実績を踏まえ,純希ガスおよびキセノンシード希ガス(キセノンはアルカリ金属ではないのでシードフリーに含める)を作動気体とするシードフリーMHD発電機の性能を総括し,更なる高性能化に向けた指針を明確にする。関連して,予備電離の高効率化,発電性能の向上を目指し,これまで本研究で開発してきた誘導結合型高周波(RF)放電に代わり得る,あるいは併用が可能な新たな予備電離手法として,誘電体バリア放電(DBD)を用いた予備電離手法の有用性をMHD発電機の構造や運転条件を考慮した数値シミュレーションより明らかにする。 2)商用規模発電機の性能および発電システムの特徴の明確化 これまでの発電実験で得られた知見に基づいて,発電出力100~1000MW級の商用規模シードフリーMHD発電機を設計し,その性能を評価するとともに,アルカリ金属シードMHD発電機との比較から,その特徴を明らかにする。さらに,将来の大規模・高速出力調整用発電システムとしての可能性を,まずは発電機単体での過渡応答特性を明らかにし,さらに発電機と電力系統を連系した発電システム全体の過渡解析から検討し,シードフリーMHD発電システムの特徴と有用性を明らかにする。
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