研究課題/領域番号 |
20H00362
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
児玉 竜也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60272811)
|
研究分担者 |
Bellan Selvan 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50785293)
長瀬 慶紀 宮崎大学, 工学部, 教授 (90180489)
石井 知彦 香川大学, 創造工学部, 教授 (90285718)
清水 忠明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10211286)
曹 賢石 新潟大学, 研究推進機構超域学術院, 助教 (70773919)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2022年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2021年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2020年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
|
キーワード | 太陽熱 / 熱化学サイクル / 水素 / CCU / 反応器 / 集光システム / 水熱分解 / 水素製造 / 二酸化炭素分解 / 合成ガス / ソーラー反応器 / 水分解 |
研究開始時の研究の概要 |
世界のサンベルトにおいて太陽集光器で得られる高温太陽集熱(1300℃以上)を利用し、高活性の酸化還元金属酸化物による2段階熱分解サイクルで二酸化炭素と水を共分解して合成ガス(CO+H2)を製造する反応システムの開発を目指す。反応ステップの温度差が100℃以下の近等温的サイクルで高エネルギー効率の達成を目指す。日本の独自技術であるビームダウン太陽集光器及び流動層ソーラー反応器の組み合わせによる30kWthシステムの開発を行い,ソーラー試験から得られた知見から0.5~5MWth反応システムの設計を行う。また、本構想に基づいた日本-豪州間のメタノールによるカーボンサイクルの経済性を試算する。
|
研究実績の概要 |
1.ソーラー反応器について、流動層から移動層の利用を含めてソーラー反応器の設計を見直すことが必要となっており、新たに移動層反応器の概念設計を行った。移動層反応器のためビーズ触媒の合成を高活性触媒(反応性セラミック)であるMnドープセリアによって行い、直径2mmの高活性ビーズの合成に成功した。さらに、これが流動層用の真球状Mnドープセリア微粒子を超える活性を有することが見出された。これらを総合的に考え合わせると、Mnドープセリアを触媒とする場合、システム全体のエネルギー効率、反応器の運転制御の容易性から移動層反応器が流動層器より有望となる可能性が高くなった。設計した移動層反応器に使用するためにはビーズの直径を3mm以上にする必要があり、その合成を試みる必要がある。 2.Mnトープセリアの高い反応活性、および、通常のセリアより等温的に2段階サイクル反応を行える理由として、2段階サイクルの高温反応ステップである熱還元反応の反応エンタルピーが低下、すなわち還元反応による吸熱量が減少し、一方、低温反応ステップである酸化反応の発熱量が減少することが電子軌道計算により見出された。これが高活性セラミック触媒の一般的な設計指針となりえる可能性が示唆された。 3.一方で、粉末触媒試料の活性試験によって、Mnドープセリアの反応活性を超える酸化還元金属酸化物触媒(反応性セラミック)を見出すことができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ソーラー反応器について、新たに移動層反応器の概念設計を完了させた。移動層反応器のためビーズ触媒の合成を高活性触媒(反応性セラミック)であるMnドープセリアによって行い、直径2mmの高活性ビーズの合成に成功、これが流動層用の真球状Mnドープセリア微粒子を超える活性を有することが見出された。これらを総合的に考え合わせると、Mnドープセリアを触媒とする場合、システム全体のエネルギー効率、反応器の運転制御の容易性から移動層反応器が流動層器より有望となる可能性が示唆された。
|
今後の研究の推進方策 |
ソーラー反応器として流動層反応器と移動層反応器を比較した結果、システム全体のエネルギー効率、反応器の運転制御の容易性、さらに高活性の移動層用のビーズ触媒開発に目途が立ったことから、移動層反応器がより有望となる可能性が示唆された。一方で、宮崎大学に設置している太陽集光システムの集光エネルギー量の測定を行ったところ、地上反射鏡の劣化がさらに進行し、太陽集光エネルギー量の著しい減少が観測されたことから、ソーラー反応器の試験は、5~30KWthのサンシミュレータで行うこととした。移動層反応器は流動層反応器と比較して、構造・制御が単純なため、最終目的である大型の0.5~5MWth級のソーラー反応システムの設計は上記のサンシミュレータ試験からでも十分行えると判断され、本研究の目的は達成できると考えられる。
|