研究課題/領域番号 |
20H00386
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
上原 宏樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70292620)
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研究分担者 |
竹内 大介 弘前大学, 理工学研究科, 教授 (90311662)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,940千円 (直接経費: 33,800千円、間接経費: 10,140千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2020年度: 23,140千円 (直接経費: 17,800千円、間接経費: 5,340千円)
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キーワード | 合成 / 延伸 / メンブレン / 超高分子量 / ポリエチレン |
研究開始時の研究の概要 |
分子量一千万以上を有する「極超高分子量ポリエチレン(Extremely Ultra-High Molecular Weight Polyethylene: E-UHMW-PE)」を合成および製膜し、さらに、超高倍率まで溶融二軸延伸することで、nmレベルの極薄肉化とメートル級の大面積化を両立した自立膜「スーパー・メンブレン」を創製する。低分子量成分を少量含有することにより分子鎖絡み合いのない初期形態が形成され、かつ、極超高分子量であることに起因して溶融超延伸が可能になる。得られた膜は、ポリエチレンの理論強度に達する強靭性を有しつつ、極薄化に伴って柔軟性と透明性も兼ね備えると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を合成時に直接製膜あるいは溶融製膜した後、溶融超延伸することで、nmレベルの極薄膜化とメートル級の大面積化を両立した自立膜「スーパー・メンブレン」を創製することを試みる。 UHMW-PEの合成は、遷移金属触媒によるエチレン重合によって行われているが、通常、パウダー状態のポリマーしか得られず、分子鎖配向は導入されていない。一方、メソ多孔体に担持した触媒を用いることで、伸び切り鎖結晶を含む繊維状UHMW-PE が重合過程で得られることが報告されている。そこで、本研究では、多孔質ガラスに担持したチタノセンジクロリドとメチルアルミノキサンを組み合わせた触媒系を用い、トルエン中でエチレン重合を行った。その結果、多孔質ガラス中でエチレン重合が起こることや、ガラス表面に繊維状組織が生成することを、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって見出した。一方、この重合体の分子量については、溶液粘度測定により100万以上であることが確認された。また、昇温過程における広角X線回折および小角X線散乱の同時測定をSPring-8で行い、得られた結果と示差走査型熱量計測定の結果と比較・考察することで、試料中に伸び切り鎖結晶(ECC)が形成されているかどうかを確認した。 さらに、市販のUHMW-PE重合パウダーからプレス製膜したフィルムをモデル試料として、延伸条件の最適化を試みた。その結果、溶融二軸延伸の方法を工夫したところ、nmレベルの薄膜化を達成できることがSEM観察による膜断面観察によって確かめられた。これに対して、膜面方向においては、μm~mmサイズにわたってECC構造が形成されており、レーザー顕微鏡による3次元構造解析が有効であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重合製膜を実施し、分子量100万以上であることを確認した。また、得られた微細構造の特徴付けを、昇温過程でのX線構造解析ならびに各種の顕微鏡観察により、広い空間スケール(nm~mm)で行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後、本研究課題における重合製膜技術の特徴を明瞭化するために、分子量分布についても評価できるよう、これに適した測定装置を導入するとともに、測定条件の最適化を試みる。
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