研究課題/領域番号 |
20H00411
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
朴 龍洙 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (90238246)
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研究分担者 |
鈴木 亮介 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (50342902)
筏井 宏実 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80327460)
加藤 竜也 静岡大学, 農学部, 教授 (00397366)
宮崎 剛亜 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 助教 (30775721)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2022年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2021年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2020年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
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キーワード | ウイルス様粒子 / カイコ / 蚊媒介感染症 / 抗原提示ウイルス様粒子 / ワクチン / 抗原提示型ウイルス様粒子 / 抗原提示 / エンベロープ / デングウイルス / 磁性ナノ粒子 / タンパク質精製 / マラリア抗原 / 磁気ナノ粒子 / 多抗原提示型ウイルス様粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルス様粒子(Virus-like particle、以下VLP)は、近年有望なワクチン素材として期待されている。本研究では、抗原とVLPの表面を化学結合する分子制御が可能な新規抗原提示法を開発し、複数の抗原を均一にVLPの表面に提示できる多抗原提示型VLP(以下多価VLP)の創成と磁気ナノ粒子を活用した多価VLPの革新的精製法を開発する。それを蚊媒介感染症、中でも、デング熱に対するマウスでの中和抗体産生誘導能評価やマラリアを対象にした感染防御試験によりその効果を実証する。これにより難治性原虫感染症に対する多価VLPワクチンを作製するカイコバイオファクトリーを世界に先駆けて確立する。
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研究実績の概要 |
(1)SC/ST化学修飾による多価VLPの作製:ノロウイルス様粒子(NoV-LP)にSpyTag (ST)を融合したNoV-LP、SpyCatcher (SC)にEGFPを融合したSC-EGFP及びm-Cherryを融合したSC-Cherryを共発現したところ、EGFPとm-Cherryを提示したNoV-LPの形成を確認した。Merozoite surface proteinとCircumsporozoite protein抗原CSPΔTM、MSPΔTM及びpfMSP1-19をカイコで発現し得られたタンパク質をそれぞれ1.5 mg, 2.5 mg, 1.8 mg及び1.8 mgを得、動物試験に供した。 (2)ナノ粒子の機能化:Flagタグを連結した4価DENV-LPをカイコで発現し、Flagタグを修飾した磁気ナノ粒子(MNP)で精製したところ、DENV-LP/CprMEは、カイコ1頭当たり43 μg、prMEの場合10 μgの精製タンパク質(回収率69ー79%)を回収した。 (3) 動物実験:カイコで発現・精製したDENV-LP/1-4CprME及びDENV-LP/1-4prMEを、2週間間隔で2回マウスに免疫を行った。DENV-LP/CPrMEがDENV-LP/prMEよりも強い免疫応答を示し、最も高い活中和活性を示した。 マラリアの抗原CSPΔTM、MSPΔTM及びpfMSP1-19を2週間間隔2回マウスに免疫を行い、免疫63日後Plasmodiuim yoelli XL原虫を攻撃し、血清の赤血球内寄生生殖変化(parasitemia)を調べたところ、抗体は産生したものの、パラシテミアの値は対照実験と大きな差はなかった。この結果は、P. yoelliは本抗原の評価系としては不適切であると判断し、今後P. yoelli評価系に適した抗原を用いる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回カイコで発現したマラリア抗原を、Plasmodiuim yoelli 評価系で評価を試みたが、評価系として不適切であったため、Plasmodiuim yoelli 評価系に適切なマラリア抗原の発現を行っている関係で、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 抗原提示用抗原の最適化:デングウイルス抗原として血清型1-4の4種類のEタンパク質をデングウイルス様粒子(DENV-LP)の表面提示を計画したが、タンパク質の大きさ(約45 kDa)が大きく、VLPへの提示効率が悪かった。この問題を改善するために、Eタンパク質のエピトープを含む小型のドメインをスクリーニングし、VLPへの提示を最適化する。VLPのプラットフォームとして血清型2CprMEタンパク質を用いる。マラリアの抗原提示の場合、Plasmodiuim yoelli評価系に適した抗原を3つの感染ステージから3種類ずつ選び、大腸菌で発現する。動物実験後抗原性が高い抗原3つをNoV-LPの表面に提示する。 (2)動物実験用サンプルの作製及び:既に作成済みのプロトコールに従って、DENVのEタンパク質の小型ドメイン候補タンパク質をマウスに免役し、抗原としての評価を行う。マラリアの抗原については3つの感染ステージから合計9タンパク質を選び、発現したタンパク質を前年度確立したプロトコールに従って動物実験に供する。 (3) 動物実験後のサンプルの解析:デングウイルス抗原については、等温滴定熱量測定(ITC)によるヘパリンとの結合活性、抗体産生及び中和活性を調べ、最適な抗原候補を決定する。マラリア抗原については、抗体の産生やP. yoelli攻撃後採収した血清の赤血球内寄生生殖変化(parasitemia)を調べ、抗原提示用抗原を選定する。 【研究代表者と研究分担者の役割】分担者加藤は抗原の発現、分担者宮崎はデングウイルス抗原の最適化、分担者鈴木はデングウイルス抗原の評価、分担者筏井はマラリア抗原の評価を担当し、研究代表者は動物実験用抗原を作製し、研究を総括する。
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