研究課題/領域番号 |
20H00422
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
澤 進一郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00315748)
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研究分担者 |
岩堀 英晶 龍谷大学, 農学部, 教授 (10355646)
佐藤 豊 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (40345872)
刑部 祐里子 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (50444071)
石川 勇人 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80453827)
村田 岳 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 研究員 (90760364)
佐伯 健太郎 琉球大学, 理学部, 助教 (70962801)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,720千円 (直接経費: 34,400千円、間接経費: 10,320千円)
2024年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2021年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2020年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | センチュウ感染 / 植物感染性線虫 |
研究開始時の研究の概要 |
植物感染性線虫の農業被害は、年間数十兆円と試算されている。本研究では、植物感染性線虫の感染機構において、線虫の誘引から植物への感染成立過程まで、幅広く、多種植物を用いてその分子メカニズムを解析する。また、その結果を利用して、農業分野への応用研究の基盤整備を行う所まで、幅広く線虫問題の解析と解決に貢献する事を目的としている。本研究では、以下の二つの項目について、研究を進める。1:線虫誘引・忌避物質の同定と農学的線虫対策応用研究、2:線虫感染に関わる植物側遺伝子の分子機構の解明(基礎研究)
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研究実績の概要 |
植物感染性線虫の農業被害は、年間数十兆円と試算されている。本研究では、植物感染性線虫の感染機構において、線虫の誘引から植物への感染成立過程まで、幅広く、多種植物を用いてその分子メカニズムを解析する。また、その結果を利用して、農業分野への応用研究の基盤整備を行う所まで、幅広く線虫問題の解析と解決に貢献する事を目的としている。今年度は、以下の項目について、研究を進めた。
1:線虫誘引・忌避物質の同定と農学的線虫対策応用研究では、以下の研究成果を得た。I: 脱脂綿水に線虫誘引阻害効果がある事を発見した。千葉大学の石川教授(分担者)の協力の下、その阻害活性の精製を試みた。その結果、活性の有る画分を得ることに成功したが、現在の所、原因物質の同定にまでは至っていない。現在の所、NMR解析でも検出限界以下の量しか集められておらず、物質の同定までは困難である可能性が考えられる。II:線虫トラップの開発を行った。これまでに単離・同定してきた線虫誘引物質とセラミックスを組みあわせ、線虫ホイホイ(線虫トラップ農業資材)の開発を行った。プレートに線虫を含有し、それにセンチュウホイホイを載せると、そこに線虫がトラップされることを確認した。農業利用のためのプロトタイプが得られたと考えている。
2: 線虫感染に関わる植物側遺伝子の分子機構の解明(基礎研究)では、以下の研究成果を得た。I: 前年度までに、イネの品種を用いて抵抗性品種を得ていた。QTL解析の結果、遺伝子抵抗性を与える6つのQTLを明らかにした。さらに、遺伝学的な解析の結果、QTLのうちの2つについて、原因遺伝子の候補を得た。II: 線虫感染後、CLE遺伝子の発現が上昇することを明らかにした。このCLE遺伝子はシステミックに地上部に移動し、地上部のCLV1により受容され、その後糖が根に転流し、線虫の生育を促進していることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1について、まず、脱脂綿からの抽出物は、線虫誘引活性の無効化に働くことが分かった。また、精製の結果、酢酸エチル層、エーテル層で、線虫誘引阻害活性が見られ、水画分では、より強い阻害活性が見られた。次に、水画分を更に極性によって精製するため、メタノール精製・Sep-Pakによる精製を行った。このように、順調に精製が進んでいる。また、線虫トラップとして、誘引物質をセラミックスにしみこませることで、トラップ剤を作成した。プレートレベルでの活性の確認ができた。
研究項目2については、イネの線虫抵抗性遺伝子の候補を特定するにまで至った。さらに、CLEペプチドがシステミックに機能し、根から地上部へ移動し、地上部から根への糖の転流により線虫の生育を促進させていることがわかった。本件について論文として報告することができた(Nakagami et al., 2023)
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今後の研究の推進方策 |
研究項目1については、線虫トラップ剤の応用研究を進める。今年度は土を使って、より現場に近い条件でセンチュウホイホイが機能するかを検証する。
研究項目2では、イネの原因遺伝子の特定を行い、罹病整形等に導入する。このことにより、イネ線虫抵抗性遺伝子の確認を行うとともに、生理学的な解析も、平行して行う。
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