研究課題/領域番号 |
20H00434
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小杉 賢一朗 京都大学, 農学研究科, 教授 (30263130)
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研究分担者 |
山川 陽祐 筑波大学, 生命環境系, 助教 (20611601)
勝山 正則 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40425426)
藤本 将光 立命館大学, 理工学部, 准教授 (60511508)
佐山 敬洋 京都大学, 防災研究所, 教授 (70402930)
中谷 加奈 京都大学, 防災研究所, 教授 (80613801)
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 教授 (90293919)
正岡 直也 京都大学, 農学研究科, 助教 (90786568)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
44,720千円 (直接経費: 34,400千円、間接経費: 10,320千円)
2024年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2020年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | 土砂災害 / 水文モデル / 斜面崩壊 / 土石流 / 土砂洪水氾濫 / 山体地下水 / 水源涵養 |
研究開始時の研究の概要 |
土砂災害の予測精度を向上させるには,山地における雨水の貯留や流出を解析する数値水文モデルの開発・展開が必須である。近年,土砂災害発生に対する山体地下水の直接的関与が指摘されていることから,本研究では,山体地下水観測井戸群を有し,地形・地質の異なる複数の調査地を対象として,既往研究のレベルを遥かに凌駕する高精度モデルを開発する。さらに,開発したモデルを「観測井戸が未整備の流域」に展開する手法を構築することで,汎用性を持つ高精度土砂災害予測を実現する。
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研究実績の概要 |
1年目に引き続き,「高精度水文モデル」を開発するための山体地下水の調査を,基礎的な水文調査と併せて実施した。対象としたのは,地質と地形の異なる複数のサイト(小起伏花崗岩山地,大起伏花崗岩山地,小起伏堆積岩山地,大起伏堆積岩山地)である。雨量,流出量,蒸発散量,土層厚,土層地下水水位,山体地下水水位,水質,水温,トレーサー流動,土壌・基岩試料の保水性・透水性に関する観測・試験を実施した。 調査結果に基づき,山体地下水の分布状況と繋がりを解析した。その結果,小起伏花崗岩山地において,山体地下水が地形上の流域界を越えた繋がりを示すことが明らかとなった。一般に花崗岩流域では,花崗岩が形成されたときの節理面に沿って主谷が形成される傾向があるが,地下水が流域界を越えて集中しているのは,この主谷に位置する流域であることが示された。大起伏堆積岩山地では,断層により遮蔽された山体地下水の3次元的な流動の実態を解明することができた。 高精度水文モデルの開発については,亀裂や割れ目を含む基岩の保水性・透水性を推定するための実験を継続した上で,新たに開発したアルゴリズムを用いて,実験結果から保水性・透水性を表すパラメータの逆推定を行った。さらに,集中(lumped)モデルと物理(physical)モデルの双方において,断層による遮水を考慮して地下水流動を解析するためのサブルーチンの開発に着手した。 加えて,国土交通省ならびに林野庁との連携を図り,モデルの展開と有用性検証に用いるためのデータ(地質,地形,雨量,流出量,水位,土砂移動履歴など)の収集・整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は,大きな問題なくほぼ計画通り順調に進んでいる。 山体地下水の調査に関しては,令和3年の集中豪雨期の現地調査について,新型コロナウイルス感染症による影響でその一部を延期せざる負えなくなった。そこで事業期間の延長を行い,令和4年の早期に実施した現地調査によって良好なデータを取得することができた。この結果,高精度水文モデルの開発を無事に実施することができた。集中(lumped)モデル,物理(physical)モデルともに,メインのプログラムとサブルーチンの開発が,当初の予定通り順調に進んでいる。さらに,亀裂や割れ目を含む基岩の保水性・透水性を推定するための手法を開発することができた。 モデルの展開と有用性検証に用いるためのデータについても,国土交通省や林野庁との連携によって,順調に収集が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の大きな変更は不要であり,当初の申請通り着実に研究を進めていく予定である。 水文観測に関しては,1~2年目の研究を継続しデータの拡充に努めていく。得られたデータをもとに,高精度水文モデル(集中ならびに物理モデル)の高度化を図っていく。 さらに,水文モデルを展開するための研究を精力的に実施していく。具体的には,集中モデルの展開のために,「各降雨イベントの逓減波形の類似性を識別し分類するアルゴリズム」の開発と有用性検証を実施する。物理モデルの展開に向けては,電気探査結果ならびに電磁探査結果の解析を行い,斜面の地質・水文構造を把握する方法の高度化を図る。さらに「集中観測サイト以外のサイト」への水文モデルの展開に着手する。
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