研究課題/領域番号 |
20H00448
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 哲郎 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (30273220)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,630千円 (直接経費: 35,100千円、間接経費: 10,530千円)
2022年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2021年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2020年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
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キーワード | RNA / 超分子複合体 / 核構造・機能 / 細胞小器官 / タンパク質 / 核構造 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類ゲノムが産生する多数の長鎖非コードRNA(lncRNA)の働きを規定する配列ルールは未知のままである。本研究ではこれをRNA暗号と呼び、その解読に取り組む。そのために、細胞内の膜を持たない構造体の骨格として働くlncRNAが細胞内で相分離を誘導する機構に注目し、その機構を担うために働くlncRNAのRNA暗号を解読する。これによってゲノムの大部分を占める非コード領域の働きを規定する法則性を明らかにできる。
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研究成果の概要 |
細胞内相分離を誘発して非膜オルガネラ(MLO)の骨格として機能するlncRNAの作用機構について多面的な解析を実施し、lncRNAの機能ドメイン毎に結合するタンパク質セットによって、ミセル化という相分離過程をへて、シェル-コアの二層からなる内部構造を持つMLOが形成されることを物理理論と細胞生物学実験から明らかにした。さらに、外層シェルのタンパク質構成によって周囲の別のMLOからの独立性が規定されることを明らかし、それが2種類のRNA結合因子の競合で決定されることを明らかにした。以上のことから、機能的なMLOの構造と存在様式が骨格lncRNA配列にプログラムされていることを示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、近年注目を集めている細胞内の相分離研究の中で、特に非コードRNAが先導する相分離機構に注目して、そのRNA内の責任領域と相互作用因子を同定し、その過程を物理理論に基づいたミセル化モデルとして提唱した。この成果は、当該分野の基盤的な研究指標となる成果である。さらに相分離体を会合するだけでなく、周囲の構造体から独立して存在するための分子機構を明らかにできた点も、今後の相分離体の作動機構を明らかにしていく上での基盤的知見となりうる。本成果は、RNAを相分離体の骨格に利用する利点に関する示唆を与えるものでもあり、RNA分子の新たな基盤的機能という視点でも重要な知見といえる。
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