研究課題/領域番号 |
20H00451
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
藤吉 好則 東京医科歯科大学, 高等研究院, 特別栄誉教授 (80142298)
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研究分担者 |
沼本 修孝 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任准教授 (20378582)
亀川 亜希子 東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト助教 (50867554)
谷村 幸宏 東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト助教 (80546515)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,430千円 (直接経費: 31,100千円、間接経費: 9,330千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2021年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2020年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 構造生理学 / 膜タンパク質 / 水チャネル / クライオ電子顕微鏡法 / 単粒子解析法 |
研究開始時の研究の概要 |
構造生理学的視点から以下の問いの理解を目指す。1) CldnsがTJを形成する機構は? 2) パラセルラーチャネルのイオン選択性やバリア機能の形成機構は? 3)菌の毒素がTJを崩壊させる分子機構は? 4) 腎臓集合管に発現しているV2Rは脳から分泌されたバソプレッシンによってどのようにGタンパク質(3量体Gs)を活性化するのか? 5) 活性化されたGs(α)はどのようにして、ヒト由来アデニル酸シクラーゼ(hAC6)を活性化するのか? 6) 活性化されたhAC6がサイクリックAMP(cAMP)を産生する機構は? 7)活性化されたPKAはいかにしてAQP2のC末端部分をリン酸化するのか?
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研究実績の概要 |
クライオ電子顕微鏡を用いて、ヒトの体の恒常性を保つ上でカギとなる水分子を中心とする生理機能を、関連する膜タンパク質等の立体構造から詳細に理解することを本研究の目的として研究を進めている。この研究の中心をなす水チャネルは、ほとんどが脂質膜内に埋まっているためにクライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析が困難な標的であり、長年努力したにもかかわらず構造解析が出来なかった。独自に開発した第8世代のクライオ電子顕微鏡を用いることによって、この水チャネルの構造解析が出来るようになった。それゆえ、水チャネルの構造と機能研究を研究課題の中心としつつ、GPCRsなどの構造と機能研究も加えて、以下の6課題の研究を進めた。 1) クローディン-18の構造解析を目指して発現・精製・結晶化を進めたが、結晶性が不十分なので、それを向上させる検討を進めると共に、単粒子解析による構造解析技術開発を行った。 2) TJについて、double-row modelを検証するために、共同研究でクライオ電子線トモグラフィーデータを取得し立体構造解析結果とモデルの比較を行った。 3) 炎症性疾患と代謝性障害などに関わるG蛋白質共役型受容体であるヒドロキシカルボン酸受容体のHCA2とHCA3の2種類のGPCRとGiとの複合体の構造解析に成功して論文を発表した。 4) hAC9とGsとの複合体の発現と精製を行い、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法による構造解析を行った。 5) 水チャネルAQP2の大量発現と精製に成功し、lipid nanodiscへの再構成にも成功し、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析についに成功した。 6) 5)の課題の成功を受けて、多くのヒト由来の水チャネル、そして比較検討するためにヒト由来ではない水チャネルGlpFなどの構造解析にも挑戦し、これらの構造解析に成功し、論文を投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題では、ヒトの体の恒常性を保つ上でカギとなる水分子を中心とする生理機能を詳細に理解することを目指して、膜タンパク質の構造解析を総合的に進めるために、以下の6つの研究課題を進めて、これまでは構造解析できなかった水チャネルの構造を単粒子解析法で解析することに成功し、構造情報が全くなかった水チャネルの構造解析から、驚くべき結果を得た。 1) 分子量が20kD程度と小さいクローディンの単粒子解析法による構造解析の技術開発を行った。 2) 共同研究を進めて、TJのクライオ電子線トモグラフィー解析を行い、我々のdouble-row modelを支持する立体構造を観察した。 3)炎症性疾患と代謝性障害などに関わるGPCRであるHCAR2とHCAR3のGiとの複合体の構造解析に成功して、リガンドの結合様式や、Giを特異的に活性化する機構が理解できるようになり、論文として発表した。 4) hAC9とGsとの複合体の構造解析に成功した。 5) 世界的に見ても単粒子解析法で解析するのは困難と思われていた水チャネルについて、AQP2の界面活性剤の条件とlipid nanodiscへの再構成の両方の条件で、構造解析に成功した。 6) AQP2の構造解析の成功を受けて、これまで全く構造情報の無かった種類の水チャネルの構造を界面活性剤条件と脂質膜内の条件で解析することに成功した。その結果、驚くべき構造と、構造変化が見出された。これらの結果は、論文に投稿してrevision中である。 以上のように、所期の目的である、水チャネルを中心とした恒常性維持機構を高分解能の構造解析に基づいて理解するという研究課題において飛躍的に構造解析技術を高めることが出来て、構造解析前には想像できなかった驚くべき機能構造を明らかにできた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的は、ヒトの体の恒常性を保つ水分子を中心とする生理機能を、関連する分子の立体構造から詳細に理解することである。2023年度の大きな研究成果として、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法によって、これまで解析できなかった水チャネルの構造を解析できるようにしたことである。この成果を基に、以下の6つの研究課題のそれぞれについてさらに研究を進める。 1) クローディンの高分解能の構造解析が期待できる結晶化を行うと共に、単粒子解析法でも構造解析が出来る可能性が出てきたので、この方法による構造解析の分解能の向上を目指す。TJのdouble-row modelを確認する研究を進める。2) ペプチドの化学合成システムを活用して、目的とするタンパク質に強く結合する短い天然のアミノ酸から成るペプチドを開発する技術の改良を目指す。3) アゴニストが結合したV2RとGsとの複合体の構造解析を目指す。オーファンに属するGPCRsの構造解析を進めて、シグナル伝達機構の詳細な理解を目指す。 4) hAC9とGsとの複合体の構造解析の高分解能化を行う。5) AQP2のlipid nanodisc中での構造解析を行う。6) 単粒子解析法を用いて水チャネルの構造を解析することが可能になったので、多くの水チャネルの構造解析を進める。これらの解析によって、膜タンパク質が脂質膜の中で機能している構造と機能を高分解能の構造解析に基づいて、新しい知見を得ることを目指す。水チャネルには、水だけでなくグリセロールも透過する水チャネルも存在しているので、これらの構造を解析して、それぞれの特徴の理解を目指す。 以上のように、水チャネルをはじめとする膜タンパク質の制御による恒常性維持機構を高分解能の構造に基づいて理解するという研究課題の達成を目指して、研究を進める。
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