研究課題/領域番号 |
20H00471
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
栗本 一基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20415152)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2024年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2023年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
|
キーワード | レーザーマイクロダイセクション / DNAメチローム / 生殖細胞 / 1細胞解析 / 空間オミクス / 1細胞 / RNA-seq / DNAメチル化 / 配偶子形成 / シングルセル / 単一細胞 / トランスクリプトーム / 組織切片 / 形態 / LCM / PBAT / メチル化 / 原始卵胞 / 単一細胞解析 |
研究開始時の研究の概要 |
生殖細胞系列は世代を越えた生命継承の要であり、その品質管理機構は発生学や生殖医学における重要な未解明問題である。胚生期に、特異なDNAメチル化プロファイルを獲得した卵母細胞は、支持細胞と密接に相互作用して原始卵胞を形成し、生涯に渡り激しい淘汰にさらされる。この過程では、卵子のもととなる卵母細胞が、支持細胞である顆粒膜細胞と密接に相互作用し、DNAメチル化を含むゲノムへの化学修飾に影響を与えながら、次の世代を発生させる準備を行うと考えられる。本研究では、卵巣の組織学的情報を得つつ、その組織切片から細胞を採取して遺伝子発現やDNAメチル化を単一細胞レベル解析する手法を開発し原始卵胞の淘汰過程を解析する。
|
研究実績の概要 |
本年度はトランスクリプトーム解析技術をDNAメチル化解析技術(tPBAT)によりよく適応可能なように拡張した。すなわち、DNAメチル化解析と組織解析をより良く統合するためには、アルコール固定だけでなくホルマリン固定された組織に適用できることが望ましい。またホルマリン固定に適応することで、原始卵胞など小さな組織学的構造や、マウス以外の多様な生物由来のサンプルの解析への適用性が向上すると期待される。そこでアルコール固定された凍結切片に対する溶解法(DRaqL法)に加えて、ホルマリンで強く固定された切片(10%, 24hr)から採取した単一細胞を効率よく溶解し、直接cDNA増幅を適用可能な手法を開発した。架橋されたタンパク質からRNAを可溶化するために、DRaqLとプロテアーゼ処理を組み合わせた。ホルマリン固定された組織からの核酸の可溶化にはProteinase Kがよく用いられるが後続の酵素を分解しcDNA合成反応等を阻害してしまう。このためプロテアーゼの不活化が必要であるが、90度10分以上の過熱などの過激な条件か、化学的に架橋する阻害剤が必要である。先行研究に阻害剤を用いたcDNA増幅手法があるが、我々の再現実験では効率のよいcDNA増幅は得られなかった。これは化学的活性のある阻害剤は阻害剤自体の安定性が十分でないために期待される阻害活性を安定して得ることが難しいためであると考えられた。このため、加熱によって失活させることができるプロテアーゼを用いて、再現性の高い結果を得ることができた(DRaqL-Protease法)。卵巣切片に適用すると正しく顆粒層細胞と卵母細胞を区別することができた。さらに卵巣オルガノイドを用いて動的に卵胞形成過程をモニターして切片からの形態-オミクス解析技術を検証する系を立ち上げており、蛍光レポーターを導入する実験系をセットアップしつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、DNAメチル化解析への複合適用性を向上させるための切片からのcDNA増幅法を大幅に改善した。このことにより、DNAメチル化解析法の方が満たすべき条件が緩和された。このためDNAメチル化解析と遺伝子発現解析の複合技術の開発はおおむね順調に進行していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
緩和されたDNAメチル化解析の実験条件に適用する手法を検討する。微量DNAライブラリの作出手法を改善し、切片から回収された「シングルセルに適用可能なライブラリ作出条件を検討する。適切な条件が得られたら、新鮮な状態で採取した1細胞および、切片から採取・溶解した細胞からのPBATライブラリの作成を検討する。卵巣オルガノイドを用いた動的なモニタリングとの複合解析も進める。
|