研究課題/領域番号 |
20H00477
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
宮城島 進也 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 教授 (00443036)
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研究分担者 |
小林 優介 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 助教 (20800692)
大沼 亮 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 講師 (80756825)
岩根 敦子 (引越敦子) 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員主管研究員 (30252638)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
2020年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 細胞内共生 / 光合成 |
研究開始時の研究の概要 |
真核細胞内で光合成を行う葉緑体は、シアノバクテリアの細胞内共生(一次共生)によって誕生し、さらに葉緑体を持つ真核藻類が、複数回独立に非光合成真核細胞内に共生すること(二次共生)で、光合成能を多数の真核生物系統にもたらした。このような共生進化は、各系統で、真核細胞による光合成性細胞の捕食、一時的保持(盗葉緑体;任意共生)、恒久的保持(絶対共生)の順に何度も独立に進行したと考えられているが、その進化の機構はほとんど不明である。本研究では、光合成を基盤とした細胞内共生の各段階の生物群において独自に開発してきた培養系・実験系を用いて、細胞内共生進化の初期過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
前年度の探索で生息地を見つけたミドリラッパムシの培養系を樹立することに成功し、さらにラッパムシ宿主内に共生している緑藻クロレラの単独培養にも成功した。当該共生クロレラの窒素源の利用能力を調べたところ、前年度までに解析したミドリゾウリムシとミドリアメーバに共生しているクロレラと同様に硝酸の同化能が、自由生活クロレラに比べて著しく低下していることが明らかとなった。さらに、ミドリラッパムシからトータルRNAを抽出し、mRNAを増幅することで、今後の解析に資するトランスクリプトーム情報を得ることに成功した。 上記と並行して、ミドリアメーバにおける宿主(アメーバ)と共生体(クロレラ)の共生関係に対する環境の影響を調べた結果、明条件で餌が多い場合は、アメーバあたりの共生体の数が減少する一方で、餌が少なくかつ無機窒素源も少ない環境下では共生体の数が増加することが判明した。つまり、アメーバとクロレラの共生関係は、貧栄養条件で有利となることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミドリラッパムシおよび共生体の培養系を新規に樹立することに成功し、今後の解析に資する、ラッパムシと共生クロレラそれぞれのトランスクリプトーム情報を得ることができた。また、ミドリアメーバを用いた共生関係を今後解析するにあたっての最初の手がかりを得ることが出来た。したがって、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
ミドリラッパムシに関して、今年度得られたトランスクリプトーム情報を用い、共生状態と非共生状態のクロレラの比較トランスクリプトーム解析を行う。また、ミドリゾウリムシ、ミドリアメーバに共生するクロレラも含めて、共生クロレラ群のゲノム解析を行い、独立栄養クロレラと比べて窒素同化経路がどのように変化しているのか特定する。 今年度ミドリアメーバで見られたような、貧栄養環境と細胞内共生の関係性が他の共生系でも成り立つのかどうかを、ミドリゾウリムシを用いて解析する。
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