研究課題/領域番号 |
20H00483
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
見学 美根子 京都大学, 高等研究院, 教授 (10303801)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2020年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 核輸送 / 微小管モーター / アクトミオシン / 核損傷 / ライブイメージング |
研究開始時の研究の概要 |
様々な生理・病理過程の細胞遊走は組織間隙の複雑な3D空間で起こり、これまで研究されてきた培養皿平面における株化細胞の遊走とは大きく異なる。本研究では脳皮質形成過程の組織3D空間における新生ニューロン遊走の分子力学機構を解明する。高時空間解像ライブ観察系により、組織間隙の狭い空間を遊走するニューロンの細胞骨格系が協調的に核を損傷から保護しながら推進力を付与する細胞機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
(1) アクトミオシン収縮による牽引と押圧の切替え機構: ミクロ加工技術で作成したパターン化基質を用い、4方を囲まれた立体空間を遊走する小脳顆粒細胞のアクチン流動を観察したところ、先導突起から核後方への逆行流が観察された。並行して、立体空間の遊走に必要なシグナル経路を分子操作と薬理阻害実験で検証した結果、機械刺激受容体、細胞内カルシウム、MLCKの関与が明らかになった。単離顆粒細胞を用いて分子操作を行なった結果、隘路遊走で起こる細胞膜への張力負荷が機械刺激受容体を活性化し、カルシウム流入を誘発してミオシンが活性化する一連の分子経路が明らかになった。 (2) 両方向性微小管モーターの連携による一方向性核輸送の動態と制御機構:顆粒細胞に強く発現する核膜アダプターNesprin2と、キネシンおよびダイニンとの結合活性を生化学実験で解析した。キネシンおよびダイニン制御分子ダイナクチンがNesprinの細胞質近位領域に相互非依存的に結合することが明らかになった。また相互作用分子ペア(FKBP-FRB)を用いた積荷輸送動態解析により、両方向性モーター分子によるNesprin発現小胞の動態を解析したところ、小胞は微小管両端へ移動すること、両方向性モーターがないとどちらにも移動できないことがわかり、ダイニン、キネシンが相互に活性を補助し合う(協調)ことが示唆された。 (3) 隘路遊走する核の損傷修復機構:小脳顆粒細胞が隘路を通過後一過的にDNA二重鎖切断(DSB)の修復機構を同定するため、培養再構成系にて相同組換え(HR)と非相同末端結合(NHEJ)の何れの経路が関与するかを各経路の特異的阻害剤を用いて検証した。その結果HRは関与せず、LIG4の活性が不可欠でNHEJにより修復されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2D自由平面遊走と3D隘路遊走でアクトミオシン集積パターンが異なることから、細胞外環境により異なる力発生機構が作動する可能性を検証した。その結果、3Dではアクチン逆行流により後方にアクトミオシンが蓄積しやすい環境にあり、カルシウム流入によるMLCKリン酸化で皮層アクチンの収縮が起こること、さらに隘路侵入に伴う細胞膜の張力上昇が機械刺激受容体を活性化し、カルシウム流入を起こすことが明らかになった。これまで知られていなかった3D遊走の新規メカニズムに迫る発見であり、予想以上の成果が得られた。 微小管依存的核輸送機構の解析においては、積荷輸送解析系を確立し、核膜分子Nesprinが両方向性モーターの協調により微小管上を輸送されることを見出した。順調に進展している。 隘路遊走に伴うDSB形成については、トランズウェル遊走アッセイを用いた薬理実験で、DSBの修復経路がNHEJであることを明らかにした。以上計画した全ての実験が順調に進展し、一部で予想以上の進捗があった。
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今後の研究の推進方策 |
(1) アクトミオシン収縮による牽引と押圧の切替え機構: 隘路通過時の細胞膜引張が機械刺激受容体を活性化し、細胞後方の皮層アクトミオシン収縮に至る詳細な分子経路を明らかにする。さらに機械刺激受容体が生体の顆粒細胞遊走に必要かを遺伝子改変動物を用いて解析する。核後方での細胞膜収縮がどのように核を前へ押し出す力に変換されるかは明らかでないので、物理モデルを構築して推定し、前方からの牽引と後方からの押圧が隘路移動にどのような効果を与えるかを検証する。また、大脳皮質介在ニューロンを2D、3D条件で遊走させ、細胞外環境によるアクトミオシン力発生の切り替え機構の普遍性を検証する。 (2) 両方向性微小管モーターの連携による一方向性核輸送の動態と制御機構:核膜アダプターNesprin2と、キネシンおよびダイニンとの結合活性と相互作用を生化学実験でさらに詳細に同定する。相互作用分子ペア(FKBP-FRB)を用いた積荷輸送動態解析により、両方向性モーター分子による協調的小胞輸送がどのように一方向性輸送を実現するかを解析する。 (3) 隘路遊走する核の損傷修復機構:トランズウェル遊走アッセイを用いた薬理実験および分子操作実験で、隘路通過後のDSB修復の詳細な分子経路を同定する。
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