研究課題/領域番号 |
20H00501
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (40321781)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2021年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2020年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | アミロイド / 凝集 / 神経変性疾患 / 脱凝集 / プリオン / 再構成 / シャペロン / タンパク質凝集体 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに構築してきた酵母プリオンタンパク質Sup35や神経変性疾患の実験系を用いて、新たに開発した各種分光学を含む様々な生物物理学的手法から、アミロイドの生成および脱凝集反応を行う新規な実験系を確立する。それによって、タンパク質の静的な構造だけでなく、拮抗する両反応過程におけるSup35タンパク質の動的な構造変化をアミノ酸、原子レベルで追跡し、アミロイドの伝播を統合的に理解することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、独自の酵母プリオンSup35および神経変性疾患原因タンパク質の実験系と全反射照明顕微鏡やクライオ電子顕微鏡、核磁気共鳴法(NMR)などの生物物理学的手法からアミロイドの生成および脱凝集過程を統合的に理解することを目指した。 本年度は、NMRで同定したSup35NMタンパク質内の各シャペロンの結合部位を利用した実験を進めた。これまでの研究でシャペロン結合部位がコア構造に入り込んでいるためシャペロン群によって認識されずに脱凝集されにくいことが示唆されている変異体アミロイドを脱凝集させることに成功した。また、プロテアーゼ含有ハイブリッド型の酵素を用いて、その変異体アミロイドを選択的に分解させることができた。特に、新たに付加させたシャペロン結合部位が露出しているために変異体アミロイドに対してシャペロン結合が実際に促進することで、脱凝集や分解の効率が著しく増大したことを、蛍光色素を用いたアッセイや全反射照明蛍光顕微鏡を用いたタイムラプスのイメージング実験から明らかにした。 さらに、神経変性疾患の病態解明を目指し、様々な構造をもつアミロイドを作成する手法を確立させた。クライオ電子顕微鏡を含む生物物理学的手法による精密測定からその構造が患者脳由来のアミロイド線維構造と同一であることを見い出した。また、各種アミロイド多型を作成し、そのアミロイドを異なるセットの複数のシャペロン群を用いた実験を行ったところ、脱凝集されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵母プリオンおよびヒト神経変性疾患アミロイドに関して、各種構造解析および凝集・脱凝集過程の解析が順調に進展したため。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで、酵母プリオンの研究についてはM1-M3変異体を用いたSup35変異体アミロイドの脱凝集過程のさらなる解析、アミロイドの解析などを進める。また、クライオ電子顕微鏡を用いたアミロイドーシャペロン複合体の構造について解析を進める。ヒト神経変性疾患アミロイドに関しても構造多型や脱凝集過程の様々な解析が可能になってきたため、今後はクライオ電子顕微鏡による構造解析と脱凝集過程の解析、高速原子間力顕微鏡を用いた解析および細胞実験を進める。
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