研究課題/領域番号 |
20H00545
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
河野 隆志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (80280783)
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研究分担者 |
鈴木 絢子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00770348)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2021年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2020年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 肺がん / ゲノム / 遺伝子 / 治療標的 / 癌 / 遺伝学 / 病理学 |
研究開始時の研究の概要 |
喫煙者を主体とした欧米肺がんのゲノム解析が大規模に進むものの、遺伝子変化の多様さから、新規ドライバー遺伝子の同定は滞っている。申請者は、欧米症例と比べ遺伝子変異数が1/10レベルと少ない肺発がん初期病変の外科的手術摘出標本の凍結サンプルや非喫煙者腺がんを多数所有している。また、RET点変異など新たな候補ドライバー変化を本サンプルで予備的に同定している。そこで本課題では、長鎖全ゲノム・エピゲノムシークエンス等を含めた先駆的な全ゲノムシークエンス解析をこれらの検体に対して行い、新規ドライバー遺伝子変化やその治療的意義を解明するとともに、ドライバー遺伝子変化を介さない肺発がん機構の特徴を解明する。
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研究成果の概要 |
上皮内肺がん、微小浸潤腺がんのゲノム変化に基づき、早期肺発がん機構のメカニズムを明らかにした(Suzuki et al, Nat Comm, 2023)。がん遺伝子変化は初期肺腫瘍の形成に働き、がん抑制遺伝子の変異は、初期腫瘍の悪性化に働くことが明らかにされた。グローバルなDNA低メチル化とそれに伴うコピー数変化、大規模構造変化は悪性化に寄与すると推察された。RET遺伝子変異の中に新規がん原性変異を見出し、その活性化やがん化能はRETキナーゼ阻害薬により抑えられることを証明した。以上より、RET遺伝子の点変異は、肺がんなど複数のがん種の発がんに寄与し、治療標的分子となることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界的にも貴重な上皮内肺がん、微小浸潤腺がんのゲノム変化を明らかにすることで、これまで明らかにされていなかった早期肺腫瘍形成の分子機構が明らかになり、その成果を国際一流紙に報告することができた。この知見は今後の肺がん予防や早期発見・治療のための基盤情報となると期待される。また、がん遺伝子変化陰性例にみられるRET遺伝子変異が、がん原性変異であり、既存RET阻害薬の治療標的となることが明らかにされた。今後、コンパニオン検査への本情報の組み込みなどがんゲノム医療への実装が望まれる。
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