研究課題/領域番号 |
20H00571
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大内 乗有 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (00595514)
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研究分担者 |
大橋 浩二 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (10595515)
竹藤 幹人 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20709117)
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2021年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2020年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
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キーワード | 運動 / 加齢関連疾患 / マイオカイン / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、運動や加齢により発現制御される骨格筋由来分泌因子「マイオカイン」とその関連分子に着目し、加齢関連疾患における役割を個体レベルで明らかにし、その詳細な分子機構を細胞レベルで解明する。そして、マイオカインの機能解析により、運動による疾患保護機構を明らかにすることのみならず、マイオカインとその関連因子を標的とした加齢関連疾患の病態生理解明と予防法開発や治療応用へと展開することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、運動により発現増加を示すマイオカインとその関連分子に着目し、これらの分子の加齢関連疾患における役割を個体レベルで明らかにし、その詳細な分子機構を細胞レベルで解明する。現時点で以下のような実験の結果を得ている。 1.遺伝子欠損マウスを用いた検討にて骨格筋保護作用を有するマイオカインであるNDNFを見出した。NDNFはAktシグナルを介して骨格筋萎縮を抑制することが明らかとなった。2.遺伝子欠損マウスと対照マウスに対して坐骨神経除去による骨格筋障害モデルを作成し、骨格筋の表現型を解析した結果、骨格筋保護的に作用するマイオカインとしてMyonectin/CTRP15を見出した。また、遺伝子欠損マウスに対してのデキサメタゾン投与による骨格筋障害モデルを作成した結果、Myonectinは骨格筋保護的に作用していた。一方で、Myonectinのリコンビナント蛋白の骨格筋への局所投与は骨格筋障害を改善した。他の骨格筋障害モデルを用いてMyonectinの骨格筋保護効果を検証中である。3.培養骨格筋細胞においてMyonectinのリコンビナント蛋白の添加は細胞萎縮を改善した。骨格筋細胞保護にはAMPKシグナルの関与が考えられた。これらのシグナルの関与はマウスレベルでも明らかとなりつつある。さらに、ミトコンドリアの機能にも影響することが明らかとなっている。より詳細な分子機構を解析中であり、シグナル伝達分子の候補が明らかとなってきている。4.Myonectin遺伝子改変マウスを動脈硬化発症マウスと交配し、二重変異マウスを作成し、動脈硬化面積を解析したところ、動脈硬化の進行を防御する可能性が考えられた。5.Myonectin欠損マウスと対照マウスに対して、心筋梗塞モデルを作成したところ、遺伝子欠損マウスでは心破裂の頻度が高い傾向であり、心保護的に作用する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では、遺伝子改変マウスあるいはリコンビナント蛋白を用いた解析にて、骨格筋保護作用を有するマイオカインとしてNDNFとMyonectin/CTRP15を見出している。NDNFは骨格筋萎縮に対して防御的に作用することやそのシグナル機序も明らかとなっている。Myonectinは少なくとも2つの骨格筋障害モデルにおいて骨格筋萎縮に対しての防御作用が明らかとなっている。さらに、Myonectinは培養系において骨格筋細胞保護的に作用しており、AMPKやミトコンドリア機能に関連したシグナル伝達経路も明らかになりつつある。従って、Myonectinの骨格筋機能に対する作用は細胞レベルと個体レベルで明らかになりつつある。これらの達成度は当初の研究計画の予定を考えると順調である。さらに、遺伝子改変マウスを用いて、Myonectinの心血管疾患に対する防御作用も明らかになりつつある。これらのマウスの交配に要する時間や長期にわたる解析時間が必要であることを考慮するとこれらの達成度も順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
加齢関連疾患(骨格筋障害、動脈硬化、虚血性心疾患)におけるマイオカインの役割と分子機構を明らかにするため、前年度までの研究成果を踏まえて、以下の解析を行う。 1.前年度までに、遺伝子改変マウスと培養骨格筋細胞を用いた検討にて、骨格筋保護的に作用するマイオカインであるMyonectin/CTRP15を見出した。今後は、このマイオカインの遺伝子過剰発現系とリコンビナント蛋白を用いて、様々な骨格筋障害モデルにおいて、このマイオカインの骨格筋機能や骨格筋萎縮に対する作用を解析する。さらに、骨格筋保護に関連するより詳細なシグナル伝達機構を解明する。 2.現在進行中である、遺伝子改変マウスに対しての動脈硬化モデルと心筋梗塞モデルの作成を継続し、マイオカインの心血管疾患(動脈硬化、虚血性心疾患)における役割とより詳細なシグナル伝達機序を解明する。
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