研究課題/領域番号 |
20H00573
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸学院大学 (2024) 京都大学 (2020-2023) |
研究代表者 |
尾上 浩隆 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (80214196)
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研究分担者 |
田原 強 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 客員研究員 (20419708)
山口 玲欧奈 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (50812640)
笠井 昌俊 京都大学, 医学研究科, 助教 (70625269)
Veale Richard 京都大学, 医学研究科, 助教 (80828880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
45,370千円 (直接経費: 34,900千円、間接経費: 10,470千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2021年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2020年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
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キーワード | 脊髄損傷 / 前脳基底部 / motivation / rsfMRI / アセチルコリン / マカクザル / fMRI / siRNA / AAVベクター / ECoG / COMS / モチベーション / ドパミン / CMOS / マカクサル / AAV / Tet制御 / Ca2+イメージング / 腹側線条体 |
研究開始時の研究の概要 |
脳梗塞や脊髄損傷患者の多くは運動機能の麻痺と併発して鬱症状を示し、意欲の減退が運動機能回復の妨げとなる。腹側線条体は意欲や動機付けに関係する重要な部位であるが、脊髄損傷後の運動回復過程にどのように関与するのかは不明である。本研究では、ウイルスベクターによる光遺伝学的、化学遺伝学的手法による経路選択的機能操作に加え、新たにp11やドーパミン受容体等の分子特異的siRNAを組み込んだAAVベクターのTet制御による神経機能修飾法を開発し、ECoG、fMRI、Ca2+イメージングによる解析により、脊髄損傷後の機能回復過程における意欲や動機付けによる神経回路再編についての神経・分子機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
非ヒト霊長類動物であるマカクザルの脊髄損傷モデルを用い、運動機能回復過程における腹側線条体の本質的な役割、神経・分子機構を解明するために、以下の3つの項目について検討を行った。 1)分子特異的siRNAを組み込んだAAVベクターのTet発現誘導システムの開発: 前年度に引き続きp11のマカクサルに特異的なsiRNAを作製し、Tetで発現が制御可能なAAVベクターの開発を行った。今年度、新たにセロタイプの違うAAVベクター、1と2のミックス型とDJ/8型、9型を作製した。ラットを用いて、in vivoにおけるアセチルコリン神経に対する発現効率について検討した結果、1と2のミックス型が最も効率良く感染し、ChAT陽性細胞の約50%の細胞がリポータータンパクであるEGFPと共染色されることが明らかになった。 2)ECoG、fMRIよるによるマクロ解析: これまでに、サルの感覚―運動野にECoGを埋め込み、脊髄損傷後の回復過程における皮質領域間の機能的結合の動的変遷における接続性について検討し、抑制性結合の強度が、損傷後の回復早期と後期で有意に減少することが明らかした。これらの結合性の変化に対する腹側線条体の影響について検討するために、MRIコンパチブルなカーボン電極からなるECoGを作製し、ECoG電極の電気信号の特性、MRIの磁場均一性への影響等を検討した。 3)一次運動野や補足運動野におけるCa2+イメージング:光遺伝学的方法により一次運動野、運動前野など運動機能回復過程におけるCa2+、神経伝達物質の動態を解析するために、CMOSとLEDを組み合わせた刺入型のイメージセンサーを開発した。また、ニホンザルの脳に埋め込むための特製のチャンバーを設計し、3Dプリンターで試作を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たにセロタイプの違うAAVベクター、1と2のミック型、DJ/8型、9型を作製し、1と2のミックス型がアセチルコリン神経細胞への感染効率がもっとも高いことを明らかにした。今後、p11のsiRNAを組み込んだ1と2のミックス型のAAVベクターを作製し、ニホンザルの腹側線状体へ投与し、タンパク質の発現を待って、安静時fMRIを撮像して、p11-siRNAシステムの脳機能結合性への効果を解析するとともに、運動機能回復過程に対する影響を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
それぞれの研究項目において、ニホンザルへのウィルスベクターの投与、ECoGやデバイスの埋め込み等の準備が整った。今後は、それぞれについて、埋め込み等の手術を行い、適宜、実験を行う。研究代表者は今年4月より、京都大学を離れ神戸学院大学に異動となった。ニホンザルを用いた動物実験は、神戸学院大学ではできないことから、人手や時間的な制約はあるが、京都大学の研究分担者とこれまで以上に、綿密に連絡を取り合い、効率的に実験を進めることで、引き続き研究計画の変更せずに研究を遂行する。
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