研究課題/領域番号 |
20H00589
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
佐藤 健哉 同志社大学, 理工学部, 教授 (20388044)
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研究分担者 |
橋本 雅文 同志社大学, 理工学部, 教授 (10145815)
高田 広章 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (60216661)
渡辺 陽介 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (80532944)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,460千円 (直接経費: 34,200千円、間接経費: 10,260千円)
2023年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2021年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2020年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | V2X通信 / 協調型自動運転 / 情報通信プラットフォーム / センサ情報共有 / ネットワーク / V2Xネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,情報共有や走行調停を行う協調型自動運転を実現するため,ネットワーク仮想化技術によりDSRC(将来的にはPC5)と携帯電話網(Uu)を効率的に併用し,各車両のセンサ情報をストリーム技術で処理することで接続台数が増加した場合のスケーラビリティを向上させる.また,クラウドのみではなくモバイルエッジコンピューティングを利用してダイナミックマップを分散処理することで,信頼性向上と低遅延を実現可能にする.さらに,ダイナミックマップに時空間グリッドの概念を取り入れ,それぞれの車両の走行予定経理を排他的に予約するという独自アルゴリズムを構築することで複数車両を効率的に調停する.
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研究実績の概要 |
本研究では,情報共有や走行調停を行う協調型自動運転を実現するため,ネットワーク仮想化技術により直接通信(DSRCやPC5)のアドホックネットワークと携帯電話基地局(Uu)経由のモバイルネットワークを効率的に併用し,各車両のセンサ情報をストリーム技術で処理することで接続台数が増加した場合のスケーラビリティを向上させ,また,クラウドに加えてモバイルエッジコンピューティング技術を利用してダイナミックマップを分散処理することで,信頼性向上と低遅延を実現可能にすることである. 従来の方式は,各車両が無線の届く範囲に車両情報を放送(ブロードキャスト)とし,その情報を受信できた他車両が安全走行に活かすという方式であるため,特定の車両間において意図的に情報共有することができなかった.本研究では,各車両に搭載されたモバイルネットワークを利用して他の車両の位置や動きを把握することで,送信する情報を的確に伝えることが可能となる.ここでは,移動体通信における位置情報を考慮したOpenFlowによるネットワーク切替え手法を提案し,シミュレーションにより通信効率が向上することを示した.また,情報共有の際に需要になる通信のセキュリティ(特になりすまし)についての対策も検討し,提案方式の有効性を検証した.さらに,自動バレー駐車において協調型走行の有用性も示した. 本研究におけるV2Xネットワークを利用した協調型自動運転のための情報通信プラットフォームは,経済産業省および国土交通省が主導して進める自動運転の国家プロジェクトであるRoAD to the L4での採用が進められており,更なる実運用に向けて開発を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 移動体通信の効率化:車両の移動によって通信経路が喪失する時刻を予測し,その通信経路でのパケットの到達性を考慮したマルチパスQIUC向けのパケットスケジューラを提案した.本提案手法では車両の将来の移動経路と周辺の基地局・アクセスポイントの情報から通信経路を喪失する時刻を予測し,ネットワークの下り方向遅延を用いて,パケットスケジューラがパケットの到達性を判断し,通信経路を選択する.これにより,通信経路を喪失した時点でのパケットの数を削減し,パケットロスによるスループットの低下を抑えた帯域集約を実現可能となることを.シミュレーションによって検証した. (2) セキュリティ・プライバシ保護:V2X通信メッセージの盗聴,追跡する攻撃に対する位置プライバシの保護のため,協調的仮名交換方式をベースに周囲の車両台数が十分でない場合は擬似的に生成した仮想車両を含めて協調的に仮名を交換,変更を行うことで攻撃者の位置情報追跡を困難にし,周囲の車両台数に関わらない高い位置プライバシの確保と仮名生成数の削減を同時に実現する方式を提案した.周囲の車両台数に関わらず,高い匿名性,高い位置プライバシを確保すると同時に仮名生成数の削減を実現しており,既存方式と比較して総合的に有用であることを示した. (3) 複数車両の協調走行:自動バレー駐車においては,複数の車両が駐車場内を効率よく移動するためには各車両間で走行を調停する必要がある.ここでは,車両が走行したい時間と道路空間をサーバ経由で予約する時空間グリッド予約の仕組みを用いて,車両同士の衝突を回避しながら各車両間の車間距離を小さくし,自動バレー駐車の効率を向上させる制御方式を提案した.本方式をダイナミックマップシステムを利用して実装し,シミュレーションにより従来の運転と比較して車両を効率的に移動させることが可能であることを示した.
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今後の研究の推進方策 |
米国,欧州,中国などでは協調型自動運転が直接通信を行うための通信方式に割り当てられている5.9GHz帯であるが,国内において一般には利用できない.日本では総務省が5.9GHz帯の割当を再検討する周波数再編アクションプランが掲げられており,研究代表者は総務省のプロジェクト(5.9GHz帯へのセルラーV2X方式によるV2Xシステムの導入に係る技術的検討)である調査検討会の主査を担当しており,この5.9GHz帯の直接通信の利用を特別に許可されたエリアにおいて実験を実施する予定である. さらに,車両の移動に基づいてV2X通信品質の予測や予約を行うことで,さらなるネットワークの信頼性向上を目指すとともに,ダイナミックマップを利用したセンサ情報の融合方式について,将来的に広く研究実験を行える環境についても模索する予定である. これまで,本研究での情報通信プラットフォームの検証ため,学外での走行を含めた独自の実証実験を併せて実施してきたが,今後は国家プロジェクトRoAD to the L4での利用を前提に,複数の携帯電話網を統合してV2X通信の信頼性向上なども含め,更なる実運用に向けての開発および検証を進める. 将来に向けた応用のために,複数車両の協調走行のための時空間グリッド予約の利用効率の向上も図る.
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