研究課題/領域番号 |
20H00597
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
栗木 一郎 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80282838)
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研究分担者 |
山口 真美 中央大学, 文学部, 教授 (50282257)
金子 沙永 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (60763183)
塩入 諭 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70226091)
金沢 創 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (80337691)
楊 嘉楽 中京大学, 心理学部, 講師 (80844703)
上野 賢一 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 技師 (90332337)
清川 宏暁 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10951808)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2022年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2021年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2020年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 色知覚 / fMRI / 脳波 / 脳内表現 / 心理物理 / 色覚 / 脳内情報表現 / EEG / 知覚 / 脳情報 / 成人 / 乳幼児 / 脳機能計測 / 色カテゴリー / クラスター解析 / SSVEP / 色情報 / 定常誘発脳波 / 類似性解析 |
研究開始時の研究の概要 |
色は目を開けると普通に感じることができるが,その感覚のメカニズムはまだ明らかになっていない.そのため,ドレスの錯視(#TheDress)のように,同じ画像を見た人の間で色の見え方が異なる現象がなぜ起きるのか,未だに説明ができない.一方,脳内における色情報を脳波や機能的MRIのような脳機能計測で調べる方法が開発されており,それらを利用して各自の脳内において色情報がどのように扱われているかを調べることが可能になってきている.本研究では,成人および乳幼児において脳機能計測を行い,我々が絵画的に経験している色の感覚が脳の中で処理されるメカニズムについて調べる.
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研究実績の概要 |
脳内の色情報表現の研究として,研究代表者の栗木が中国・浙江大学の谷川久准教授および Anna Wang Roe 教授のグループと行った共同研究を論文として発表した.Roe教授と谷川准教授のグループはマカクサルの皮質表面における赤外線の反射光を撮影することで神経活動を記録する内因性光記録という技術を用い,大脳皮質の神経活動を記録する方法で研究を行なっている.霊長類の大脳では,第1次視覚野と第4次視覚野が色に対する選択性を著名に示すが,異なる色の視覚刺激に対してこれらの領野が示す神経活動のパターンを記録し分析した結果,第1次視覚野では網膜からの信号である反対色軸の色に対して選択性を強く示すが,第4次視覚野においては反対色軸の中間方向に選択性を示すように変化していくことが明らかになった.また,皮質上において色刺激の生じさせる脳活動の領域の重心位置が色相によって異なることに着目し,その距離を測定・分析する研究を行なった.この研究成果は Frontiers in Neuroscience に発表した. 研究分担者の金子および研究代表者の栗木は,2020年度に原著論文で発表した脳波研究データの個人差を元にした色メカニズムの推定に関する解析結果を国際会議(virtual VSS)において発表した.解析結果が探索的な結果であることから論文化の困難さが予想されるが,有益な助言を得ることができた.また,研究分担者の楊と山口,金沢と研究代表者の栗木は,乳幼児における色に対する脳波応答の実験に関する結果を同じ国際会議(virtual VSS)において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成人の脳波(SSVEP)の個人間の違いを元に,色選択性のメカニズムを推定する研究は一定の評価を受けることができ,論文化に向けて進められることを確信することができた.乳幼児においても,成人とは異なる固有の特徴を脳波(SSVEP)の特徴の中に見いだすことができ,被験者数を増やして論文化を目指すことができるという確信を得ることができた. また,研究代表者は2021年度から研究機関を移り新たに研究室を立ち上げたが,2021年度に行ったfMRI実験の結果を分析した卒業研究において,色の見え方に関する知覚応答(ボタン押し)と相関の高い脳活動を調べた結果,色の見え方に関する課題によって脳の異なる部位が活動することを示す結果を得ることができた.この研究では表象類似性解析という方法を用い,知覚と脳活動の関係を分析することに成功した.
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今後の研究の推進方策 |
成人の脳波研究については,研究分担者の金子が中心となって論文化を進める予定である.乳幼児の脳波研究については,研究分担者の楊が中心となり,分担者の山口・金沢とともにより多くの実験データの収集を進める.成人の fMRI 研究は,研究代表者の栗木と研究室の大学院生および研究分担者の上野が共同して研究を進め,脳活動パターンを多次元尺度構成法などの手法を用いて解析し,色の課題によって脳内の情報表現がどのように変化するかを調べていきたいと考えている.
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