研究課題/領域番号 |
20H00600
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
宮脇 陽一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80373372)
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研究分担者 |
福永 雅喜 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 特任教授 (40330047)
山下 宙人 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究室長 (80418516)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2022年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2021年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2020年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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キーワード | 超高磁場MRI / MEG / 時間分解能 / 空間分解能 / 融合 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトは素早く変化する外界を高速に認識し、適切に行動できる。そうした機能を実現するには、複数脳部位に及ぶダイナミックな神経活動の働きが重要である。この働きを理解するにはヒト脳活動を時間的・空間的に高精度に計測し、解析する必要がある。しかしながら、このような手法は現存しない。そこで本研究では超高磁場MRI信号計測と、脳磁場信号計測を用いることにより、時間的に優れた脳磁場信号から高精細な空間情報を引き出す方法と、空間的に優れたMRI信号から高精細な時間情報を引き出す方法を研究する。さらに両者を組み合わせ、より高精度な脳活動解析を可能し、脳活動計測が持つ潜在的精度を最大限引き出すことを目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大がおさまらず、ヒト被験者を用いた脳活動計測実験の実施が難しい状況が続いたため、ヒト脳活動計測実験に関連する課題についての遅れを取り戻すまでには至らなかった。こうした状況の中、MEG信号源推定技術のさらなる高度化と、超高磁場MRI信号の高速計測および解析手法の研究を多角的に進めた。具体的には、以下の項目を実施した。 (1)構造化MEG信号源推定モデルの階層化:昨年度までに我々が用いてきたMEG信号源推定モデルは、データに対して忠実に誤差を減らそうとするものの、それゆえノイズの影響を受けやすいという特性があることが分かってきた。これを踏まえて、活動している脳部位に関する事前知識を階層化事前分布として積極的に取り込み、ノイズからの影響を低減させることに部分的に成功した。 (2)MEG信号源推定パターンの高時空間分解能解析:前項の実施によって、我々の提案手法の耐ノイズ性に関する理解が深まったが、一方、脳活動パターンの復元精度については未評価であったため、これに取り組んだ。その結果、複雑なパターンであっても十分に再現可能であることをシミュレーションで確認できた。 (3)高速fMRI信号の高時空間分解能計測:昨年度のファントム計測で実証した撮像条件で高速fMRI信号計測の本実験を本格実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響のため、実際にヒト被験者を用いた計測実験は2回程度の予備実験を実施するにとどまった。実験回数は少数であったが、基本的な信号が想定通りに計測できることが確認され、次年度に繋がる結果となった。 (4)高速fMRI信号からの情報読み取りメカニズムの解明:スパースデコーダと磁化率強調画像を組み合わせることにより、高速計測されたfMRI信号において度の脳部位がよりリッチな情報を持っているのかを定量的に解析することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症拡大により、ヒト被験者を用いた実験を今年度も本格化することができず、関連した課題において遅滞を生じた。その一方で、MEG信号解析手法をさらに高度化や、高速fMRI信号における情報源の解析において大きな成果を得ることができ、計測済みのデータを活用して研究を大いに進展させることができた。以上の状況を踏まえ、「(3)やや遅れている」の評価が妥当であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで着手した研究課題を継続しつつ、実施が遅れているヒト被験者を用いた脳活動計測実験を進め、新たに開発した解析手法を実データに適用することをすすめる。この目標達成のため、以下の項目を実施する。 (1)構造化MEG信号源推定モデルの実データ評価:今年度開発をすすめた構造化MEG信号源推定に階層化事前分布を導入した新しいモデルを実データ解析に応用する。同時に、推定時の適切なパラメータ探索、階層化事前分布の重み分布設定などを体系的に検証し、偽陽性を生み出す情報拡散の抑制度を高めることを目指す。 (2)MEG信号源推定パターンの高時空間分解能解析:複雑な脳活動パターンであっても我々のモデルが適用可能であることがシミュレーションで示すことができたので、今後は自然物体画像提示時あるいはその構成要素である特徴量を抽出した画像に対する脳活動を実計測し、解析することを目指す。 (3)高速fMRI信号の高時空間分解能計測:本年度は少数回の予備的実験を実施するにとどまったfMRI信号の高速計測の実験を本格的に進めることを目指す。実験条件としてはこれまで実績のある自然物体画像提示とともに、MEG信号源推定でも用いる予定の特徴量画像提示も行う。 (4)高速fMRI信号の潜時同定:高速fMRI信号の高時空間分解能解析において重要になる、各脳部位間での血行動態反応の差を同定することを試みる。これまで予備実験において計測済みの息止め実験や全視野刺激実験における高速fMRI信号を用い、特に各脳部位間での潜時差に着目することから開始する。
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