研究課題/領域番号 |
20H00619
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
瀧ノ上 正浩 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20511249)
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研究分担者 |
伊野 浩介 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00509739)
尾上 弘晃 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30548681)
野村 慎一郎 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50372446)
佐藤 佑介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (60830560)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2021年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2020年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 分子ロボティクス / DNAナノテクノロジー / 電気化学 / 人工細胞 / ソフトマター / DNAコンピューター / DNAコンピューティング |
研究開始時の研究の概要 |
マクロファージは,病原体を食べて殺菌するとともに,病原体の情報を他の免疫細胞に伝える役割もする免疫細胞である.本研究では,これを模倣した「マクロファージ型分子ロボット」を構築すると伴に,ディジタルの世界と当該分子ロボットをつないで,ディジタルハイブリッドな分子ロボットを構築することを目的とする.分子ロボットのボディとして,DNAゲルを用いる.分子ロボットに細胞表面の分子認識を行わせ,ターゲット細胞を包み込ませる.薬剤で攻撃させるだけでなく,ターゲット細胞表面の分子情報を取得させる.その分子情報を電気化学的に分析しディジタルな情報に変換し,別の分子ロボットのコンピュータ制御にフィードバックする.
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研究実績の概要 |
本研究では、「マクロファージ型分子ロボット」を構築するとともに、ディジタルの世界と当該分子ロボットをつないで、ディジタルハイブリッドな分子ロボットを構築することを目的としている。本年度は、この目標のため、以下のような研究を推進し、多くの成果を得た。 代表者・瀧ノ上は、分担者・佐藤と協力して、DNA液滴を用いたマイクロRNAセンシングができるDNA液滴コンピュータの開発に成功した。また、瀧ノ上は佐藤と協力して分子ロボットの筐体となるDNAゲル・DNA液滴の粘性・表面張力等の基礎物性と塩基配列の関係を詳細に調べ、相転移温度におけるDNAゲル(液滴)の界面張力および粘性が、塩基配列設計により変更可能なことを見出した。また佐藤と瀧ノ上は、DNA液滴が相分離現象により形成される様子を、数値シミュレーションで記述することに成功した。瀧ノ上は分担者・野村と協力し、DNAゲルを用いた分子ロボットの培養細胞との相互作用評価に取り組んだ。その成果として、特異性の高い認識分子を用いることによる細胞の選択的な取り込み挙動を見出し、特許出願中である。野村は、加えて、より巨大かつ磁場による外部操作が可能な分子ロボットシステムとして、cmスケールの人工多細胞構造の自己集合による構築について新たな手法を見出し、報告を行った。さらに、分担者・尾上は瀧ノ上と協力し、ポリアクリルアミドを二本鎖DNAで架橋した合成高分子/DNA混合ゲルを構成し、ヒスタミンアプタマーの鎖置換反応と、DNAヘアピンモノマによる鎖置換カスケード反応による二本鎖DNAの伸長反応により、ヒスタミンに特異的に応答して膨潤するDNAゲルセンサの構築に成功した。分担者・伊野は、瀧ノ上と共同で、DNAゲルを用いたハイドロゲルファイバーを作製し、細胞培養に応用した。また、ハイドロゲル内の細胞機能を電気化学的に計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者、分担者ともに、研究計画書に記載の実施内容について予定の年度において一つ一つ順調に研究を進めており、成功を収めている。実施過程で新たな発見もあり、それを発展させ、新規技術の構築にも結びつけている。
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今後の研究の推進方策 |
代表者・瀧ノ上は、分担者・野村と実施している、DNA液滴による生体分子・細胞のセンシングとDNA液滴の光制御の実験をさらに発展させる。これにより、最終年度である来年度において、「マクロファージ型分子ロボット」のプロトタイプが実現できると考えられる。現在は、2-3種類のがん細胞とその細胞表面タンパク質をターゲットにして、タンパク質特異的な抗体またはアプタマを選定し、DNA液滴に修飾して機能を確認しているが、その種類を増やすことや、特異性、並列性、感度なども含めて複数の細胞を認識できるようにする。それを発展させ、分担者・佐藤らとともに、生体分子のセンシングに関して、より複雑なパターンを認識させ、ある種の細胞認識コンピュータを持つ分子ロボットに発展させる。同時に、センシングの感度を上げるためのシグナル増幅機構についても検討する。分担者・尾上は、瀧ノ上と共同で、DNAアプタマーセンサゲルを発展させ、分子ロボットの筐体への応用も試みる。分担者・佐藤は、カプセル型DNAゲルの形成機構に関して新規手法の開発も試みる。分担者・伊野は、瀧ノ上とともに、DNAゲルと電導性材料の融合による電気化学デバイスの構築を進め、ディジタルハイブリッドな分子ロボットの構築へ発展させる。
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