研究課題/領域番号 |
20H00633
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鈴木 聡 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 寄附講座教授 (90196816)
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研究分担者 |
佐野 大輔 東北大学, 工学研究科, 教授 (80550368)
渡辺 幸三 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (80634435)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2021年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2020年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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キーワード | 薬剤耐性 / 環境微生物 / 水環境 / 遺伝子伝播 / 暴露リスク |
研究開始時の研究の概要 |
人獣医療現場で発生した薬剤耐性菌は,下水処理施設,河川から海へ流出する。環境に拡散した耐性菌は死滅・除去されると考えられてきたが,申請者らは,臨床由来の耐性菌が持つ耐性遺伝子が,環境の常在細菌群集に残存することを解明した。さらに,臨床では知られていない新規耐性遺伝子が海洋に存在することを明らかにしつつある。本研究では,残存実態解明からさらに進めて,臨床および水圏起源の耐性遺伝子が病原菌・腸内細菌に伝播するプロセスを解析し,水圏から人間環境へ耐性遺伝子が侵入する機構・条件を解明し,リスク評価を目指す。遺伝子伝播と侵入の機構を解明する研究であり,ワンヘルスに環境視点で貢献する。
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研究実績の概要 |
これまでに,環境水での薬剤耐性遺伝子の潜伏実態を解明し,そのヒト細菌への伝達プロセスと促進因子等を明らかにしてきた。環境水の有機物濃度やある種の金属等の存在が異種間遺伝子伝達を促進することが明らかになり,耐性遺伝子の拡散リスクは,化学汚染とリンクしていることを示唆した。また,既報データを利用した統計学的解析から,どのようなケースでリスクが高まるかを分担者と共同で解析中であり,期間内に論文発表が可能。さらに,環境と臨床から得られたAcinetobacter株の全ゲノム解析から,それぞれの特徴的な耐性遺伝子保有プロフィールが明らかになった。現在論文作成中である。 2022年度は,下水環境菌から腸内細菌への遺伝子伝達が高率に起こることを解明した研究が評価され,2022年度水環境学会の年会優秀発表賞(クリタ賞)を受賞した(分担者,東北大)。 また,海洋細菌が持つ新規サルファ剤耐性遺伝子sul4は,既知のsul遺伝子のケースと異なり,伝達因子を伴わないことから,海洋細菌の必須遺伝子として機能していることことを示唆した。この成果は現在論文投稿中である。 くわえて,分担者と討論をかさね,微生物生態系では原生生物が耐性遺伝子の水平伝播を促進することが知られてきたことをまとめて,総説として発表した。本課題期間にさらに原著論文のみならず,総説論文を複数発表予定であり,世界への発信を加速する。成果はマレーシア国際遺伝学会,マリンエンジニアリング学会,日本水環境学会等でも招待講演,特別講演等を行っており,本課題の成果発表は国内・国際的に十分行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍によって担当留学生の来日が遅れたために調査とそれに付随する研究が延期になっていたが,令和3年度には再開でき,研究が進んだ。水圏環境由来のAcinetobacter株と臨床由来株では保有する耐性遺伝子のプロフィールに違いがあり,環境菌の持つ遺伝子が臨床へ侵入した場合に,新たな遺伝子リスクになる可能性が示唆された。全ゲノム解析から得られた成果は現在論文作成中である。また,分担者との共同論文が完成した。現在は海洋細菌が新規サルファ剤耐性遺伝子を保有することを解明した成果を分担者とともに論文投稿中である。本課題の最終目的であるリスク評価モデルも完成に近くまで進んでおり,本課題期限内には終了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年(2023年度)では,本課題の最終目標である水環境の耐性遺伝子がヒト環境へ侵入するリスクの評価を行い,数理モデルでの表現までを目指す。また,これまでの成果をすべて論文発表する予定である。
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