研究課題/領域番号 |
20H00639
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
川村 賢二 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (90431478)
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研究分担者 |
大藪 幾美 国立極地研究所, 先端研究推進系, 特任研究員 (20758396)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,760千円 (直接経費: 35,200千円、間接経費: 10,560千円)
2023年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 21,840千円 (直接経費: 16,800千円、間接経費: 5,040千円)
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キーワード | 気候の不安定性 / 急激な気候変動 / 南極ドームふじ氷床コア / メタン / ダンスガード・オシュガー振動 / 南極氷床コア / アイスコア / ドームふじ / バイポーラー・シーソー / 氷期・間氷期 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの南極ドームふじ氷床コアの分析結果から、気候の不安定性を南極と南半球中緯度の気候変動から論じた。一方、氷床コアの連続融解法によるメタン濃度分析手法を確立した。これらの成果を発展させ、ドームふじコアのメタン濃度を高精度かつ連続的に分析することで、未解明であった最終氷期より前の時代における北半球の気候変動シグナルを、南極氷床コアに見出す。これと北半球の海底堆積物コアや石筍などの解析データとの年代を統合し、ドームふじコアの気温の指標とも合わせて解析することを通じて、南北シーソーを伴う北半球の急激な気候変動の程度や頻度、地理的広がり、および平均気候状態との関係を解明する。
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研究実績の概要 |
・連続融解法によるドームふじ氷床コアの分析 未だ世界的にも分析例の存在しない最終氷期より古い時代を対象として、南極ドームふじ氷床コアの分析を推進した。具体的には、最終氷期の海洋同位体ステージ3(氷期の中間的な気候)と比較研究するために、前々回の氷期(海洋同位体ステージ6)の5万年弱の期間を選定した。本分析結果には、従来の個別試料の分析結果には見られない突然の気候変動を示唆するシグナルが多数見られ、それらは最終氷期のダンスガード・オシュガー振動と類似した変動パターンであると推定したが、一方で、最終氷期のイベントと比較して短期間かつ振幅が小さい変動が多いといった違いも見られた。
・連続融解メタン分析手法の検証と改良 超純水と標準ガスを用いたメタン濃度のキャリブレーションについては、複数のコアや深度の試料を用いてCFAデータと個別試料の分析データを比較した結果、キャリブレーション後の濃度が個別試料分析の値より約4%低く出ることと、この過小評価の度合いが場合により変化することを発見した。キャリブレーションに用いる超純水を冷やす試みを行ったところ、補正後のデータが個別試料の値に近づいたことから、原因の一部は水の温度にあることが推察された。また、アイスコアの空気含有状態(気泡、ハイドレート)や圧力も関係ある可能性があることから、異なるコアの分析により今後検討が必要である。また、ドームふじコアの大深部の分析に向けたメタン濃度計測器の導入の検討を行った。そのため、新たな装置の導入を進めている海外の共同研究者からの関連情報の収集と議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べたように、試験や実試料の分析が順調に進んでおり、前々回の氷期における突然の気候変動の様相を詳細に把握できるデータを得ることができた。また、深度分解能をさらに高めるための測器については、共同研究者の経験を踏まえて慎重に検討すべく情報収集を行っているなど、進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ドームふじコアの分析については、2500mより深い深度の分析を行い、古い時代の氷期と間氷期の一部について、分析手法の限界の評価と古環境変動の復元を目的としたデータを取得する。また、連続融解メタン分析手法の改良については、ドームふじコアの深部の分析データと同深度範囲の個別試料分析を実施し比較することや、分解能の高い測器の導入に向けた調査と検討を行う。
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