研究課題/領域番号 |
20H00650
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
高橋 晃周 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (40413918)
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研究分担者 |
三谷 曜子 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (40538279)
吉田 聡 京都大学, 防災研究所, 准教授 (90392969)
國分 亙彦 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (90580324)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2021年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2020年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
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キーワード | 海洋生態 / 環境変動 / 動物行動 / 海洋貧酸素化 / バイオロギング |
研究開始時の研究の概要 |
海洋中の溶存酸素濃度が低下する現象(海洋貧酸素化)が世界の外洋域で進行しており、特に北東太平洋の中深層(200-1000mの深度帯)でその進行が顕著である。しかしながら、海洋貧酸素化が生態系にどのような影響を与えるのかについては、未だに不明の点が多い。そこで、本研究では、北東太平洋を広範囲に回遊しながら中深層への潜水を繰り返すゾウアザラシに溶存酸素濃度記録計を装着する新規手法を用いて、中深層の溶存酸素濃度を高精度・高頻度で観測する。同時にアザラシの捕食行動を観測し、魚類・イカ類を大量に捕食する高次捕食動物の視点から、海洋の溶存酸素濃度の低下が中深層生態系に与える影響を評価することを目指す。
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研究実績の概要 |
海洋中の溶存酸素濃度が低下する現象(海洋貧酸素化)が世界の外洋域で進行しているが、その生態系への影響には不明の点が多い。本研究の目的は、溶存酸素濃度記録計をアザラシに装着する新規手法を開発し、魚類・イカ類を大量に捕食する高次捕食動物の視点から、海洋貧酸素化が外洋の中深層生態系に与える影響を評価することである。本課題の3年目にあたる今年度は、まずアザラシに装着可能な溶存酸素濃度記録計の開発・検証を継続した。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で延期が続いていた日本側からの研究者派遣による米国カリフォルニア州でのキタゾウアザラシ野外調査を実施できた。アザラシに装着した溶存酸素濃度記録計のデータから、キタゾウアザラシが日中に深く潜水し、溶存酸素濃度が2mg/L以下の酸素制限層や0.5 mg/L以下の酸素極小層で頻繁に採餌を行っていることが明らかとなった。また酸素制限層と極小層の境界付近で、アザラシの採餌速度(滞在時間あたりの捕食数)が高くなる傾向が見られ、溶存酸素濃度の変化が餌生物の深度分布を通じてアザラシの捕食行動に影響を与えていることが示唆された。またEUの気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」による海洋物理・生物地球化学の再解析データセットとの比較を行って、記録計から得られた溶存酸素濃度データの特徴を調べた。その結果、アザラシに装着した溶存酸素濃度記録計のデータが、再解析データセットでは分からなかった溶存酸素濃度の時空間変動を高い精度で捉えていることが確認された。一方で、今年度も溶存酸素濃度記録計の部品供給遅れが継続したことによって記録計の改良工程にも遅れが生じ、記録計の小型化については翌年度に持ち越して実施することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小型溶存酸素濃度記録計の改良作業に遅延が生じ、改良後の記録計を用いた調査を翌年度以降に延期することになったため
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス・高病原性鳥インフルエンザといった感染症への対策として米国の共同研究者による野外調査には制約があり、記録計を装着できるアザラシの個体数が少なくなる状況が継続している。溶存酸素濃度記録計を小型化できれば、米国の共同研究者が使用する他の記録計と同時に装着することが可能になり、データ数を増やせる。そのため、引き続き記録計の小型化を推進する。
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