研究課題
奨励研究
近年, 資質・能力の育成が目指されており, 国語科では「情報を精査・解釈する力」が重要視されている。国語科における「情報を精査・解釈する力」とは, 連続型テキスト(文学的文章や説明的文章等)や非連続型テキスト(図表, グラフ等)から必要な情報を取り出し, 情報同士を関連付けることで読みを深める資質・能力のことである。本研究では低学年を対象として, 挿絵に着目した文学的文章教材の学習プログラムの開発することを通して, 「情報を精査・解釈する力」を育成することを目的とする。
小学校低学年を対象として,挿絵に着目した文学的文章の学習プログラムを開発することを通して,「情報を精査・解釈する力」を育成することを目的として研究に取り組んだ。本年度は,基礎研究として挿絵が児童の読みに与える影響について明らかにするために,133名の低学年児童を対象に調査問題を実施した。この結果,2点のことについて示唆を得ることができた。1点目は,指導には3つの様相があり,物語を「文章のみ」「挿絵のみ」「挿絵と文章を関連付けて」読む児童がいることが明らかになった。2点目は,挿絵があることによって,物語について具体的により豊かにイメージできる児童が比較的多いことが明らかになった。
小学校入学前は絵本を読むことが多い子供だが,小学校入学後の国語科授業では連続型テキストである文章を対象として情報を読み取ることが急に求められる傾向にある。この幼小間の段差が原因となり,読み取りに困難を示したり文学的文章に苦手意識をもったりする子供の存在が明らかになっており,改善が急務とされている。そのため,本研究により,幼小接続期である小学校低学年の読みの様相を明らかにすることができ,今後より具体的な指導方法を見出すための資料が集まったといえる。一方で,本研究では今後調査対象者数,回答数等より精度の高い調査を実施する必要がある。その上で,具体的な学習プログラムの開発に取り組んでいく。
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大谷大学国語教育研究
巻: 第8号
40022661062