研究課題
奨励研究
本研究では赤川(2018, 2019)の成果に基づいて, 「仮言的三段論法」を用いた説明の構成に焦点をあてた小学校段階の授業プログラムの開発を目的とする. 開発によって小学校算数科授業における説明活動の質的改善を図ることが, 演繹的推論の系統的育成につながると考えている.具体的に, 研究期間(1年)では, 小学校高学年図形領域に絞り実践・検証する. 本研究を通して, 証明につながる小学校段階の説明の在り方の一端を明らかにし, 質的改善を図りたい。
算数・数学教育における演繹的推論を働かせた「筋道立てて考え,表現する力」は,数学で扱う論理の基盤として重要視されている.筆者は「仮言的三段論法(推移律)」に着目し,「筋道立てて考え,表現する力」を系統的に育成する学習の在り方を研究している.研究期間(1年)では,小学校の算数題材にも仮言的三段論法が内在する題材を同定し,教材化したことが主な成果である.具体的には数の大小比較に関する題材を同定し,小学校全校で実施可能な2種類の調査問題,教材を開発した.1点目は仮言的三段論法を用いて結論を推論するもの,2点目は結論から中間命題を逆向きに推論するものである.今後は調査や実践化につなげたい.
演繹的推論を働かせた「筋道立てて考え,表現する力」は,数学で扱う論理の基盤として重要視される.近年,小学校算数科の「説明」を数学の「証明」の萌芽と捉え,系統的に育成しようとする動向がある.しかしその系統性が十分明らかになっていないため,小学校現場において目的の希薄な算数科の説明活動が散見される.その改善のために「仮言的三段論法(推移律)」に着目し,系統的育成の可能性を研究した.今後「仮言的三段論法」を用いた説明の構成に焦点をあてた実践を行うために,小学校段階の題材の分析を実施した.小学校の算数題材にも仮言的三段論法が内在する題材があることを同定したことが本研究の主な成果である.