研究課題
奨励研究
協同学習とは, 小集団(small group)を活用した教育方法であり, そこでは児童・生徒が一緒に取り組むことによって自分の学習と互いの学習を最大限に高めようとするものである。アメリカ合衆国における協同学習の代表的な研究者スペンサー・ケーガンの提唱する協同学習の手法(ストラクチャー)を取り入れた授業開発をする。集団内の互恵的な相互依存関係のもと, 協同的な活動を生起させる授業の学習効果を, 小学生を対象とした実践で検証する。
学習指導要領では,子ども達に知識・技能を身につけさせると同時に,思考力・判断力・表現力を育む必要があると謳っている。思考力・判断力・表現力を育むためには,協同学習が有効であることから,過去に実践された協同学習の文献研究をした。そして,小学校2年生の算数授業において,アメリカ合衆国の協同学習の研究者であるスペンサー・ケーガンの提唱する協同学習とその手法(以下ストラクチャー)を取り入れた授業を実践し,ストラクチャーを取り入れない小集団学習と比べたところ,発言者数,発言内容の種類数からストラクチャーの有効性が実証できた。
今まで協同学習の効果について,教師の経験としてその効果が語られることはあったが,同時に,2クラスを比較することで,その効果を数値で実証する例は見つけることができなかった。本研究により,従来の授業が,一部の児童・生徒の発言に頼ったものだったことが改めてわかり,協同学習のストラクチャーを導入することで,今まで聞き役に回っていた児童生徒の発言を引き出すことことができることがわかった。