研究課題
奨励研究
本研究は小学校算数科に新設された「データの活用」領域における新教材の開発とその教育効果の検証を目的とする。新教材の開発においては〈情報活用型プロジェクト学習〉を導入し, 単元全体を囲む「プロジェクトのミッション」を学習の中心に据えつつ, 情報の収集・編集・発信の流れで単元を構成する。効果の検証おいては, 資質・能力に関する児童の姿の変容を問う内容で児童本人と授業参観者の二者に質問紙調査を行い, 開発教材の更なる改善を図る。
学習指導要領の改訂により,小学校算数科においては「データの活用」領域が新設された。本研究では,この新領域が狙う問題解決能力や批判的思考力の育成に資するため〈情報活用型プロジェクト学習〉を新たに導入した教材を開発した。授業実践後に行った授業参観者へのアンケート調査で,学習過程の全体を囲む「プロジェクトのミッション」を学習の中心に据えつつ,情報の収集・編集・発信の流れで学習単元を構成することと,問題解決の過程を学習者自身が振り返るフェーズを設定することが,問題解決能力や批判的思考力の育成に有効であると認められた。
本研究では,教科書教材の課題を克服した新教材の開発を行った。具体的には,「データの活用」領域における教科書教材は,データの読み取りや表し方に終始し,問題解決能力の育成に課題が残る。一方,開発教材では,学習過程そのものを重要視する。問題発見から,解決計画立案,データの収集・編集・発信へと学習を進める教材とすることで課題を克服した。この開発教材は,問題解決能力や批判的思考力の育成に資する教材として,学校現場で広く活用されることが期待できる。また,授業実践を行う場合の評価における課題として,一授業単位ごとに細分化した評価や自己評価ワークシートが必要であることが明らかとなり,今後の改善も期待される。