研究課題
奨励研究
知識を相互に関連付けてより深く理解するために, 概念地図を用いた説明活動を行った。概念地図を用いることで, 説明活動による学びが効果的に行われると考えた。しかしながら先行実践では, 下位の学習者に十分な効果が認められず, 説明活動の相手と自分の異同を把握し易くする必要性が示唆された。本研究は, 相手と自分の異同を把握しやすくすることで, 説明活動による学びをより効果的にするために概念地図に象限を追加した“象限地図”を開発し, その効果を検証する。
本研究は,説明活動で相手の説明の直感的な把握や説明の異同の理解を支援するため,概念地図の構成を工夫し,その効果を検証した。永嶌・久保田(2020)(前実践)は,概念地図に象限を設定し,ペアの異同を把握し易くした。本研究は,学習内容をより鮮明に振り返らせるため小単元終了毎に概念地図を作成させ,単元終了時にこれらを貼り合わせ象限地図を作成し説明活動を行った。分析の結果,説明活動後にノード数は増やしたが,前実践以上の効果は得られなかった。本実践の地図は象限地図内に同じ語句のノードが複数存在した。同一ノードが複数あることでノードやリンクが必要以上に多くなり,視覚的に捉えにくい地図となったと考える。
学校現場では「主体的・対話的で深い学び」の実現が不可欠である。深い学びを構成する一要素である「知識を相互に関連付ける活動」に,概念地図を用いた学習がある。知識を相互に関連付けてより深く理解し,その過程を表現する。また,対話的に概念理解を促進する方法に,説明活動がある。メタ認知的な省察を伴い,話し手の既有知識に新たな知識を構築する過程を説明することで,話し手と聞き手に学習効果がある。知識構築の過程を表現する概念地図を,説明活動の際に自身の考えを表現する資料とすることで,話し手は自身の知識構築の過程を説明し易くなると考える。聞き手も概念地図により話し手の説明を理解し,共有できる可能性がある。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
日本教育工学会論文誌
巻: 44 号: 1 ページ: 85-93
10.15077/jjet.43088
130007872221