研究成果の概要 |
立地適正化計画で指定される居住誘導区域の浸水被害リスクの低減を目指し,区域指定における浸水想定区域の取り扱い基準の明確化を目的として実施した. 2040年の人口動態を踏まえて浸水想定区域の除外可否を検証した結果,浸水想定区域全域や危険性の高い浸水深2.0m以上の区域,および洪水時に家屋が流失する恐れのある家屋倒壊等氾濫想定区域を除外して居住誘導区域を指定可能な都市が多いことが明らかとなった.今後,自治体が居住誘導区域の指定や再検討をする際,将来人口動態や浸水被害リスクに応じて,浸水想定区域を除外して区域を指定し,除外できない場合の対策についても検討する必要がある.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,今後多くの都市で人口が減少する中,災害リスクに対応したコンパクトシティ形成に資する研究である.まず,建築・都市計画分野にて立地適正化計画は注目のテーマであるが,居住誘導区域と災害リスクの関連に着目した研究は少ない.特に居住誘導区域指定時の浸水想定区域の取り扱いについては,近年の豪雨災害で居住誘導区域内が浸水したことで,そのあり方に対する議論が行われているところである. さらに,都市のクラスター別に浸水想定区域の除外可否や除外基準, 併用する防災施策を明らかにしたことにより,今後各自治体で居住誘導区域の指定や見直しを行う際の参考資料になり得るものと考える.
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