研究課題/領域番号 |
20H00987
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3110:農芸化学、生産環境農学、森林圏科学、水圏応用科学、社会経済農学、農業工学、獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 神奈川県科学捜査研究所 |
研究代表者 |
立野 志生 神奈川県科学捜査研究所, 科学捜査研究所技術職員
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 –
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
480千円 (直接経費: 480千円)
2020年度: 480千円 (直接経費: 480千円)
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キーワード | 溺死の判定 / 群集組成 / 水生無脊椎動物 / chao指数 / NMDS / プランクトン / PCR / mtCOⅠ / 溺水の判定 |
研究開始時の研究の概要 |
法医学における溺死判定は、これまで主に水死体の気道内に入り込んだ水から珪藻を検出することで行われてきた。 しかし近年では死後水中に投じられた死体と溺水死体とで検出される珪藻の量に差が見られないことが明らかになった。 このため、珪藻以外の新たな生物指標が求められている。そこで本研究では水生の寄生虫や昆虫類及び魚類病原体を指標とした新たな溺死判定法と溺死場所の推定法の開発を目指す。
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研究成果の概要 |
神奈川県内の河川及び浴槽内を調査地として、珪藻に依らない溺死判定法及び溺死場所の推定法の開発を試みた。鶏肉または豚肉を用いた溺水モデルを作製し、河川または浴槽に沈めてモデル内の水を採取した。また調査地点の環境水を採取し底生生物を採集した。 環境水からミクロキスティス属の藍藻が観察された。底生生物の群集組成の非類似度を算出し、視覚化したところ地域差が認められた。河川水と浴槽水を無脊椎動物のmtCOⅠ遺伝子の約700 bpのバンドの有無で区別できることが示唆された。ヒト水死体の溺水から mtCOⅠ遺伝子を増幅し、その配列を調べ水生無脊椎動物の配列と比較対照することで溺水場所を推定できる可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
法医学において、水死体の溺水の証明には珪藻を主とするプランクトンが肺及び消化器系の臓器から検出されることが重要視されてきた。一方でプランクトンは溺水以外の要因でヒト体内に侵入し得るとして、溺水の判定のための指標としての価値に疑義をもつ考えもある。そこで珪藻以外の生物を溺水の判定に利用できるかを検討した。 溺水の判定のための珪藻以外の生物指標として、多様な水生昆虫類をはじめとした無脊椎動物を利用できる可能性が示唆された。また、更なる検証を要するが、溺水から水生無脊椎動物由来のDNAを検出することで、屋内外で溺水死したのか否か、また河川のどの場所で溺水死したのかを明らかにできる可能性がある。
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