研究課題
奨励研究
犯罪現場で採取される生体資料について、体液種の同定は犯罪の立証に極めて重要である。体液種の同定は、体液特異的に発現するmRNAの検出によって行われる。近年、迅速性や簡便性に優れたRNA検出法としてRT-RPA法が注目されている。RT-RPA法は等温増幅による反応系で、20分程度で反応が完了する。本研究では、体液特異的なmRNAを指標として、RT-RPA法による迅速・簡便な体液種同定法の開発を行う。
本研究では、体液特異的なmRNA(血液:HBB、精液:PRM1)を指標としたRT-RPA法を開発した。反応条件を検討した結果、42℃の反応で20分以内に指標mRNAを検出できた。HBBの検出感度は0.02 ng、PRM1の検出感度は0.4 ngであった。また、他体液を含む混合試料からもHBB・PRM1を特異的に検出できた。以上の結果から、RT-RPA法は体液特異的なmRNAの迅速・簡便な検出法として利用できることを明らかにした。
法科学鑑定において体液識別検査は、犯罪の立証に極めて重要である。近年、高い特異性と検出感度を有するmRNAが体液識別の指標として注目されている。しかし、従来法(RT-qPCR法・エンドポイントRT-PCR法)は工程が多く、煩雑であるため、mRNA検出に時間と手間がかかる。本研究で開発したRT-RPA法はこういった問題を克服し、mRNAを指標とした体液識別検査の迅速化・簡便化に貢献できると考えられる。
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Forensic Science International : Genetics
巻: 58 ページ: 102665-102665
10.1016/j.fsigen.2022.102665