研究課題/領域番号 |
20H01196
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
伊藤 貴雄 創価大学, 文学部, 教授 (70440237)
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研究分担者 |
芝崎 厚士 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 教授 (10345069)
川口 雄一 創価大学, 文学部, 非常勤講師 (10756307)
福谷 茂 創価大学, 文学研究科, 教授 (30144306)
松井 慎一郎 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (50795101)
加藤 泰史 椙山女学園大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90183780)
大橋 容一郎 上智大学, 文学部, 教授 (10223926)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 新カント派 / 社会科学 / 近代日本思想 / 国際文化交渉 / 価値哲学 / 受容史 / 西田幾多郎 / 鈴木宗忠 / 朝永三十郎 / 左右田喜一郎 / 土田杏村 / 三木清 / 桑木厳翼 / 田邊元 / 牧口常三郎 / 近代日本 / リッカート / 南原繁 / 河合栄治郎 / 日本思想史 / 哲学と社会科学 |
研究開始時の研究の概要 |
19世紀後半から20世紀初頭にかけて世界的に影響力のあった新カント派の哲学は、日本において大正から昭和初期にかけて大きく受容され、その影響は狭義の哲学にとどまらず、広く文化評論から経済学・政治学・法律学・教育学など社会科学分野の思想家にも及んだ。新カント派哲学への理解なしに近代日本思想史を正確に理解することはおよそ不可能と言える。にもかかわらず今日、日本の学界では同学派への関心は極めて希薄なものにとどまっている。本研究は、近代日本思想史において新カント派哲学が社会科学と接点をもった意義を学際的に明らかにし、新カント派の継受をめぐる国際比較研究を可能とする研究基盤を構築するものである。
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研究実績の概要 |
3年度に当たる2022年度は、「大正末から昭和ファシズム期までの新カント派哲学の様相を検討」を目標に掲げ、オンライン研究会と資料調査を中心に研究活動を行った。 2022年6月4日、「第6回研究会」を開催し、以下の発表があった。①エレナ・レペホワ「西田幾多郎の哲学に対する新カント主義の影響」、②前川健一「新カント派哲学から東亜共栄圏と仏教哲学へ――鈴木宗忠の著作についての予備的考察」(①・②ともゲスト発表)。 2022年9月3~4日の2日間にわたり、「第7回研究会」を開催した。1日目は「朝永三十郎『カントの平和論』発刊100周年記念」として以下の発表があった。①鈴木亮三「土田杏村と『象徴の哲学』をめぐって」、②芝崎厚士「1922=〈自我・国家・国際関係〉から2022=〈自我・国家・グローバル関係〉の構想へ――国際関係認識論からみた『カントの平和論』」、③杉田孝夫「「二つのカント平和論」余滴」、④伊藤貴雄「朝永三十郎『カントの平和論』とそのコンテクスト」(①・③はゲスト発表)。 2日目は「左右田喜一郎『文化価値と極限概念』発刊100周年記念」として以下の発表があった。①大木康充「大正期における文化論争と土田杏村のプロレットカルト論――階級問題を中心に」、②加藤泰史「左右田喜一郎の哲学とその意義」、③大橋容一郎「文化主義:野村隈畔との関係」、④福谷茂「京都学派:田邊元との関係」、⑤川口雄一「政治哲学:南原繁との関係」、⑥伊藤貴雄「教育哲学:牧口常三郎との関連」(①はゲスト発表)。 2023年3月11日、「第8回研究会」を開催し、以下の発表があった。①玉田龍太朗「三木哲学の宗教性とリッケルト」、②伊藤貴雄・川口雄一「海外調査報告――ハイデルベルク、テュービンゲン、フライブルク、ベルリンを中心に」(①はゲスト発表)。 また、国内外の諸大学で資料調査を行った(「現在までの進捗状況」の項で後述)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンラインで3回の研究会を開催した。発表内容は、先行研究レビューから、西田幾多郎、鈴木宗忠、土田杏村、朝永三十郎、左右田喜一郎、三木清といった個別思想家の研究までをカヴァーするものであり、近代日本における新カント派受容史を特に哲学・宗教学・文化評論・国際関係論・経済哲学の観点から解明する成果が得られた。 また昨年度に引き続き、これまでの研究会の成果の一部を『東洋学術研究』(東洋哲学研究所刊)第61巻第1号・第2号に「近代日本における価値哲学者の群像」と題して2回にわたり連載した。 加えて、ようやく新型コロナウィルス感染症が終息への傾向を見せたことから、2年間延期していた国内外の資料調査や、海外研究者との連携をスタートすることができた。国内では東京造形大学附属図書館「上木文庫」で土田杏村に関する資料調査(2022年12月)、国外ではドイツのマインツ大学カント研究所・ハイデルベルク大学日本学研究所で新カント派に関する日独研究交流を協議、マインツ大学哲学部図書館・ボン大学哲学部図書館で新カント派及び近現代カント主義に関する資料収集、ハイデルベルク・テュービンゲン・フライブルク・ベルリン各大学の哲学部図書館及び大学アーカイヴで左右田喜一郎・朝永三十郎・南原繁等の日本人留学生に関する資料収集、ベルリン市内で日本人留学生居住地の特定作業などを行った(2022年9月及び2023年2~3月)。 以上の進捗状況を踏まえ、本研究は「おおむね順調に進展している」に該当するものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では、2023年度は「総括として国内シンポジウムと国際ワークショップで成果報告」を目標に掲げ、共同研究を遂行する予定である。 基本的には2022年度までに構築した研究体制と人的ネットワークを踏まえて、マインツ大学カント研究所、ハイデルベルク大学日本学研究所、バーゼル大学ヨーロピアン・グローバル・スタディーズ研究所等と連携しつつ、シンポジウムやワークショップの開催形態を検討したい。また、これと併行して、国内外における資料調査も、東京造形大学附属図書館「上木文庫」の第2回調査などを中心に計画している。 なお、2022年度に開催した第6、7、8回研究会における発表内容を中心に『東洋学術研究』第62巻第1号(2023年5月刊)に「近代日本における価値哲学者の群像(5)」を掲載する予定である。本連載はこれで終了となるが、今後、既掲載分に新たな発表内容を加えた最終総括的な公表の可能性を検討したい。
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