研究課題/領域番号 |
20H01204
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
|
研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
石川 伊織 新潟県立大学, その他, 名誉教授 (50290060)
|
研究分担者 |
落合 桃子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (40434237)
神山 伸弘 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (60233962)
片山 善博 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60313433)
小島 優子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 教授 (90748576)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
|
キーワード | ヘーゲル美学 / 美術史 / 美学氏 / ロマン主義絵画 / 絵画アカデミー / 美学史 / 古典主義 / 美学 / 18-19世紀美学史 / 絵画論 / ヘーゲル美学講義 / ボアスレ・コレクション / ロマン派絵画 / 19世紀ドイツ美学思想史 / ロマン派絵画論 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでのヘーゲル美学研究は、体系上の整合性のみを取り上げて、芸術終焉論ばかりを議論してきた。申請者の先行研究「ヘーゲル美学講義に結実した芸術体験の実証的研究」(2014-2018年 基盤研究(B) 課題番号26284020)は、これを排して、ヘーゲルが具体的にどの絵画を見て議論を展開しているのかを明らかにした。本研究はこの研究の成果を受け、ヘーゲルに影響を与えたボアスレとの関係を軸に、書簡や当時の美術書、同時代の美学・美術史文献を渉猟するとともに、ヘーゲルとも関わりの深かったヴァイマール美術学校を調査して、ヘーゲル美学を19世紀初頭の美学思想史の中に位置づけようとするものである。
|
研究実績の概要 |
申請者の先行研究「ヘーゲル美学講義に結実した芸術体験の実証的研究」(2014-2018年度 基盤研究(B) 課題番号26284020)では、ベルリン大学でのヘーゲルの4回の美学講義における絵画論が、ボアスレ・コレクションの参観とドレスデン絵画館での体験がもとになっていることを明らかにした。本研究ではこれをさらに進めて、ヘーゲルの絵画論を18-19世紀の美学理論上に位置づけるとともに、ボアスレと親交を結んだロマン派の画家及び哲学者とヘーゲルとの思想上の近接と対立とを明らかにすること、またヘーゲルとロマン派との相克が後世の美学思想、あるいはアカデミーを介しての絵画教育にいかなる影響を与えたのかを、絵画史と絵画思想史、さらには芸術哲学の系譜にまで踏み込んで考察する。 ここで重要になるのは、第一に、雑誌『アテネーウム』誌上で展開されたA.W.シュレーゲルの絵画論と1801年からベルリンで開講されたA.W.シュレーゲルの美学講義であり、その後『オイローパ』誌上で展開されたF.シュレーゲルの絵画論であり、またイタリア絵画を高く評価していたF.シュレーゲルに与えたボアスレによるオランダ絵画評価の影響である。第二に、当時芸術に関して重要な発言を展開していたゲーテの研究が重要であり、第三にヘーゲルのヴィンケルマン評価が問題である。さらに第四に、同時代の思想家、特にシェリングやシュライアーマッハとの関係を考察しなくてはならない。最後に、当時の画家たちとの関係や彼らの作品を、上記の思想史的・美術史的な議論の具体的な表れとして、とらえなおすことである。こうした作業を通して、反ロマン派としてのヘーゲルという伝統的で一面的なヘーゲル芸術哲学理解の再考を試みることを目標とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、コロナウイルス蔓延によってドイツにおける資料調査を実施することはできなかった。研究を一年繰り延べて実施することとし、2021年度の予算で2021年10月から2022年9月までの間にオンラインによる研究会を3回開催し、2022年9月には初めて対面での研究会を開催することができた。しかし、ドイツでの資料調査は、折からの円安の影響で渡航計画を見直す必要に迫られるとともに、訪問先との日程調整に予想外の時間が必要となり、結局研究分担者の内一名を派遣しての予備調査を開催するにとどまった。 日本国内で可能な範囲での資料収集は順調に進んでいるが、これを整理・分析するにはなお一層の努力が必要である。国内移動には支障がない状況になっているため、国内の美術館・資料館・図書館での調査計画を順次練りなおしているところである。国内でのアクセスに限界がある一次資料については、実際に現地で調査をしなくてはならないのはもちろんである。 研究成果は主に本研究会での口頭発表が中心となってしまった。これを論文・著作の形で発表する準備を進めているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年には全面的に対面での研究会に切り替え、研究分担者相互での活発な意見交換に努めるとともに、学会での公開の発表、論文・著作での発表、一般への公開講座等を開催して盛夏の公表に力を注ぐ計画である。 懸案であったドイツでの資料調査に、今後本格的に取り組む計画である。 研究の方向性は、研究会におけるこれまでの討論を通して、かなり明確になってきている。具体的には、(1)ロマン派の思想との関係で:『アテネーウム』誌と1801年にはじまる美学講義でのA.W.シュレーゲルの絵画思想と、『オイローパ』誌に掲載されたF.シュレーゲルの絵画論と対置し、両者をつなぐものとしてボアスレの思想を分析すること、(2)古典主義との関係で、ゲーテの色彩論とヘーゲルの美学思想の詳細を分析すること、(3)同じく古典主義との関係でヴィンケルマンとヘーゲルを比較検討するこ、(4)同時代の哲学者の芸術哲学思想とヘーゲルの関係を探求すること、(5)こうした思想的諸関係の具体的な表れとして、ロマン派絵画および画家とのヘーゲルの関係を示すこと、以上の5点である。これを引き続き今後の研究課題とし、さらに深めていくことを目指す。
|