研究課題/領域番号 |
20H01207
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
池田 忍 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90272286)
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研究分担者 |
小沢 朝江 東海大学, 建築都市学部, 教授 (70212587)
赤澤 真理 大妻女子大学, 家政学部, 講師 (60509032)
大田 壮一郎 立命館大学, 文学部, 教授 (00613978)
亀井 若菜 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (30276050)
村松 加奈子 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40707973)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 絵巻 / 宗教史 / 都市史 / 建築史 / 『慕帰絵』 / 南北朝・室町時代 / 慕帰絵 |
研究開始時の研究の概要 |
『慕帰絵』は、本願寺第三世・覚如(1271-1351)の伝記絵巻で、制作時期(1352)と二名の絵師の分担が判明する中世絵画の基準作である。 申請者は既に科研費助成を得て本絵巻の学際的研究を進めてきたが、新たに以下の三つの視座を設けて研究を深化する。1)理想の住まいとしての「閑居」の建築描写と背景となる価値観。2) 女性・稚児の実像とその人物表象にみる中世のジェンダー秩序。3) 新旧の仏教勢力が共存・拮抗した南北朝時代の初期本願寺の立場と東山の宗教空間。 これによって『慕帰絵』の表現世界を複眼的に読み解き、初期本願寺の指導者層による絵巻制作の目的と意義を社会的文脈に位置づける。
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研究成果の概要 |
本研究では、14世紀半ば、観応の擾乱の只中における京都・東山の初期本願寺によって、詞と絵からなる複合的表現媒体である絵巻が選択され、場面の取捨選択、画面構成や表現の吟味、詞書執筆者の依頼を経て、「慕帰絵」完成にいたるまでの一連の過程を解明をめざした。加えて絵巻が受容される環境に目を向けることで、美術が有する社会的機能と役目を考察した。具体的には、1)建築表現、2)女性や稚児の表象、3)制作環境としての都市、以上の三つの視座を設け、『慕帰絵』の企画・制作者らが直面していた「現実」と「理想」のギャップを考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、中世絵画の基準作で、建築・生活を詳細に描くことから絵画史料として重用されながらも、史料批判が尽くされていない『慕帰絵』を中心に、各地の真宗門流の求めに応じながら初期本願寺が関与した各種の親鸞伝絵(絵巻)および親鸞絵伝(掛幅)他、各宗派・諸寺院で制作された諸作品との比較を通じて、中世高僧伝絵の表現の特徴と意図の解明を試みた。美術史・建築史・歴史学の研究者の共働を通じて、絵画表現と同時代の都市空間や建築の実態、史実とを照合し、注文主の意図に基づく作為を抽出する分析方法を吟味・追求した本研究は、同時代における絵巻の社会的機能に関する考察に寄与するという点からも汎用性の高い議論を提示した。
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