研究課題/領域番号 |
20H01225
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
|
研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
大城 房美 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (80289595)
|
研究分担者 |
濱野 健 北九州市立大学, 文学部, 教授 (40620985)
杉本 B.Jessica 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60434750)
長池 一美 大分大学, 教育マネジメント機構, 教授 (90364992)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
|
キーワード | 女性 / マンガ・コミックス / 国際 / 表現の自由 / 異文化 / ジェンダー / Manga・Comics / 多文化 / 多様性 / 規制 |
研究開始時の研究の概要 |
21世紀以降グローバル化により、日本マンガに限らないMANGAという言葉が生まれた。女性市場を持つ日本マンガの海外進出は、男性主導であったコミックスにおいて「女性」を触発し、新しい参加をもたらしたが、海外では性暴力表現への批判も強い。はたして MANGA は自由な主体性表現文化として定着するのか。本研究は ① 主体性表現 (作家・作品のメッセージ性やファン・コミュニティーの役割など) と ② それを構築する環境 (各文化圏の法整備、教育現場、アーカイブの構築など) の2つの観点から「女性」と MANGA 文化の規制リテラシーを検証し、異文化を繋ぐ MANGA の役割を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2023年前半には国内の出版社で編集者にインタビューを行ない、後半では海外の出版社やマンガ出版について現地調査を行った。 海外調査では、NYとアングレーム(フランス)に焦点を当てた。なかでもコロンビア大学のバトラー図書館は大きく変化しており、10年ほど前に訪れた時は、日に当たらない場所にあったコミックスやマンガの研究施設は広く明るい空間となっていた。コミックス自体に対する認知が広まり、文学の一領域を確保していた。コロンビア大学のバトラー図書館の司書にインタビューを行い、数年で急速に充実したコミックス研究の現状や学生の状況を視察した。 また科研協力者や現地のアーティストと共に、巨大な規模で開催される出版産業を取り込んだアニメやマンガを中心としたイベントを視察した。日本の書籍を中心に扱っている書店員にインタビューを行った。数ヶ月前に本屋に置かれている日本マンガが英語翻訳マンガに変わり、普通の書店もまた英語マンガをかなりの規模で所有するに至ったことを知った。印象的だったのは、発禁本のコーナーが設置されていたことだ。学校の図書館と一般の出版には規制の点で深刻な差異がある。日本マンガ翻訳においては海賊版の問題は深刻だ。 英語マンガ・アニメ人気を背景に世界各国でコミック・コンは行われている。私たちは、2024年1月に開催されたフランスアングレーム国際漫画祭に参加し、パネル出演した。ヨーロッパの伝統あるコミックス文化としてのBDと若者を中心として近年広がった動的なマンガ文化は一つのイベントの中で好対照である。多様な国で受容される文化という視点が混在している会場では、多くの言語を通して、人々が繋がりたいという欲求が存在しており、その可能性に向かって、新旧雑多に表現が共存していた。多大なエネルギーが感じられるその雑多な有り様からは、今後のグローバル文化の複雑さと面白さを考えさせられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
23年度は国内に加えて欧米に焦点を当てるという当初の目的を遂行することができた。NYのアニメコンに参加し、NY在住のアーティストとパネルを企画し、フランスの国際漫画祭に現地参加することができた。その一連の活動は、HPで公表し、英語によるパネル発表の準備を行っている。 また、24年度の繰越では、出版の準備も引き続き行う計画である。コロナ禍で海外へ行くことが叶わなかった時期にインタビューをしたアーティストの作品を集め、展示会を企画し、作品収集に尽力してくれた東南アジアの研究協力者の招聘も計画している。
|
今後の研究の推進方策 |
現在本研究は、初年度から見舞われたコロナ禍のため、一年で行う予定だった研究を繰越によって2年がかりで遂行しつつ研究の成果を重ねているところである。また、24年度に繰り越しせざるおえなかった研究代表者の状態も回復に向かい、9月に復帰する見込みである。 24年度には、本来最終年度に予定している研究の準備と遂行を行う予定である。 2年分の研究を重ねることで計画に困難が生じることが予測されたが、当初の研究計画や研究方法を見直し、工夫を加え、目的が達成できるよう尽力し、訪問地や感染状況を確認し、プロジェクトメンバー(分担者と国内外の協力者)とともに、より効果的でかつ無理のない研究計画の実現を図る。 現地調査、展示会、招聘、国際会議、出版など、当初計画していたことはほぼ達成できる見込みである。
|