研究課題/領域番号 |
20H01250
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
近藤 信彰 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
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研究分担者 |
大塚 修 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00733007)
山中 由里子 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (20251390)
菅原 由美 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (80376821)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | ペルシア語 / 歴史物語 / 王書 / ハムザ物語 / アレキサンドロス物語 / アレクサンドロス物語 / 王著 / ペルシア語歴史物語 / ハーティム・ターイー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、『ハムザ物語』『王書』『アレクサンドロス物語』などのペルシア語歴史物語 が、どのように生成し、アジアの各地にどのように伝播し、どのように受容されたかを、学際的に研究し、解明するものである。これらの物語は、古代西アジアの歴史を下敷きにして、民衆文学や語り物として、アジアの各地に広がった。その一つ『ハムザ物語』は、前近代のムスリム世界においてもっとも、多くの読者・聴衆をえた作品と言われている。この三作品には共通する要素も多く、似通った性格をもっているため、これらのさまざまな版を比較・対照しながら、時間・地域による物語の変容過程を明らかにして、当時のアジア社会の民衆の心性に迫るものである。
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研究実績の概要 |
本年度は、別の研究資金を獲得したため、このテーマの研究をより広く行うことが可能となった。近藤信彰は2022年8月には、スペイン・サラマンカ大学で行われた国際イラン学会第13回大会において、Spinning Stories: The Evolution of the Dastan as a Genreというパネルで“Interrelations among Various Versions of the Persian Hamzanama”という報告を行った。このパネルの4つの報告のうち、近藤のものを含め3つがハムザ物語に関するものであり、ハムザ物語研究の最先端を知るとともに、国際的なつながりを持つことができた。 2023年3月にはミュンスター大学のPhilip Bockholt氏を招聘し2回のワークショップを開催した。1回目は“Kalila and Dimna in Anatolia: Persian and Turkish Traditions” と題し、研究協力者の神田惟がBockholt氏とともにアナトリアで著された韻文のカリーラとディムナの写本について報告した。2回目は“Banakati and Khvandamir: Value and Readership of Persian General Histories”と題し、大塚修がバナーカティー史を世界史として再評価する報告を行った。 海外調査では、研究協力者山本久美子がアメリカ・ロサンジェルス在住のペルシア語女性講釈師であるGord Afarid氏のパフォーマンスの調査を行った。彼女のインタビューや提供してくれたビデオと録音は、これまでの歴史物語の口誦パフォーマンス研究をいっぺんさせる可能性のある貴重なデータである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで難しかった海外での調査や学会発表が可能となり、繰越分や他資金も含めて活動できるようになった。この意味で、申請時に構想していたことがようやく本格的に実行でき、研究に大幅な進展が見られた。 特に、山本久美子氏のロンドン大学東洋アフリカ研究院紀要に掲載された論文、Hamza versus Rustam: Comparing the Hamzanama with the Shahnamaは、有名な『王書』の英雄であるロスタムと『ハムザ物語』の主人公ハムザを比較したもので、この分野の最先端の研究と言える。近世においては『王書』と『ハムザ物語』の語りがともに聴衆を集めていたことを考えれば、両者の差異は興味深い。
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今後の研究の推進方策 |
本研究3年目に予定していた国際シンポジウムを4年目である来年度9月に開催する予定である。すでに、ドイツのこの分野の第一人者Ulrich Marzorfの参加が決定している。また、ライデン大学のBen Arps氏も9月から5ヶ月間、東京に滞在することが決まっており、研究を一気に進展させる予定である。研究成果出版のためのBrill社との交渉も始まっており、優れた成果を国際学界に示すようにしたい。
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