研究課題/領域番号 |
20H01263
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
中谷 健太郎 甲南大学, 文学部, 教授 (80388751)
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研究分担者 |
CHANG Franklin 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (60827343)
矢野 雅貴 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (80794031)
小野 創 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90510561)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2020年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 心理言語学 / 日本語 / 事象意味論 / 視線計測 / 語用論 / 命題間推論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,これをさらに進め,図3に示されるような,(i) 命題間推論がボトムアップでなく予測的になされる現象を,(ii) 動詞句の事象意味論がその推論のトリガーになるケースに焦点を絞り,(iii) 視線計測,および脳波測定といった実験パラダイムによって,(iii) 主に日本語と英語について検証し,言語理解においてどのようなタイミングでどのような推論が発動されるのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は実時間の文の理解において事象意味論がどのように推論に基づく予測を発動するかを,視線計測と脳波計測を通して検証し,文処理メカニズムにおける意味理解の適切なモデルを立てることを目標とする。従来の言語理論は統語論,意味論,語用論を問わず,多かれ少なかれフレーゲの構成性の原理を基盤としたボトム・アップの理論となっているが,実験的手法の発達により言語の実時間処理の実態があきらかになるにつれ,ヒトはボトム・アップ処理を必ずしも行っておらず,予測処理を中心としたインクリメンタル処理を行なっていることが明らかになっている。ではボトム・アップ=構成的な言語理論と非ボトム・アップ=予測的な実時間言語理解の接点はどこにあるのだろうか。本研究では特に,動詞から来る事象意味論が,どのように予測的推論を発動し,非明示的項がどのように選好解釈を受けるかに焦点を当てる。 2021年度は,COVID-19の蔓延により,引き続きヒトの参加による実験および研究集会や研究会などの活動は著しく制限されたが,17名の被験者に対し,主格主語を統制条件とする否定極性表現の理解について視線計測のパイロット実験を行った。予備的な分析ではtotal timeやfirst fixationでは違いが見られなかったが,first passで交互作用の傾向が見られた。ただし,データ・クリーンアップの手法にまだ問題が残されているので,更なる検討が必要である。また統語処理と文の意味処理のインタフェースについての論文を執筆などおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い,共同実験・調査等実施が困難となった。分担者と共同で実験を行う予定だったが,学会もオンライン開催のみ,かつ往来の制限により困難となった。 また新型コロナウイルス感染症の影響により、所属研究機関の研究活動指針等を踏まえ、研究計画に遅延が生じた。研究計画はすべてヒトに対する実験研究であるため,実験室に被験者を集めることが制限されたが,後半にはパイロット実験の実現が可能となった。しかし計画自体は遅延した。 また分担者はトンガ王国に居住するトンガ語母語話者を対象にした文産出実験を計画していたが、トンガ諸島での噴火に伴い実験実施が不可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度のロードマップとしては,本研究計画で導入した視線計測器について,RAとなる院生のトレーニングを行ったが,その院生が修了したため,別の院生のトレーニングに入り,実験計画を進める。また,視線計測実験データには多くの尺度が含まれるため,その分析のためのノウハウを蓄積するため,ドイツで開かれる統計ワークショップに参加する予定である。
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