研究課題/領域番号 |
20H01298
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 浩之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (70334224)
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研究分担者 |
小口 雅史 法政大学, 文学部, 教授 (00177198)
片山 章雄 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (10224453)
辻 正博 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (30211379)
矢野 正隆 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 助教 (80447375)
森脇 優紀 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 特任助教 (90733460)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 中国古文書学 / 料紙分析 / 敦煌文献 / トゥルファン文書 / 群際接合 / トルファン文書 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、文字情報偏重から脱却し、文書に使用される紙(料紙)自体を精緻に観察・分析して得られるデータを集積し、様々な角度から中国古文書を検討する。料紙の相対的な前後関係や紙種・用途などの相互関係を明らかにすることで、古文書の真贋判定や時代確定、断片接合などへの応用が可能となる。文字情報や文書の表面観察による従来の手法による研究成果が、個々の研究者の「感覚」に依拠しがちであったのに対し、料紙分析の手法による本研究の成果は、定量データに基づく「客観的で検証可能」なものである。本研究では、中国古文書研究の革新のために、その出発点となる中国古文書学の基盤整備とそれを応用した個別研究を行う。
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研究実績の概要 |
2021年度当初も新型コロナウイルス感染症の影響により移動制限や3密回避といった感染症対策が世界的に継続されていた。その後、夏から冬にかけてコロナウイルスは収束と拡大を繰り返したため、年度内は調査出張を行える状況にはなかった。特に海外については、相手国の事情が最優先され、加えて日本の入出国が厳しく管理されていた。このため、最終的に多人数による調査出張は不可能だと判断し、海外出張用の予算は科研費の繰越制度を利用して翌年に繰越申請を行った。 この繰越が認められたため、コロナウイルスが世界的にほぼ収束し、入出国の制限が緩められた段階で海外調査を計画し、調整の結果、2022年9月になってようやくフランス国立図書館において古文書の形態および料紙の調査を行うことができた。 フランス国立図書館ではペリオ将来の敦煌文献から古文書・古記録だけでなく、各時代の指標となり得ると考えられる仏典も含めた49点について調査した。この調査においては、料紙の長さ、厚みなどの形態の計測、抄紙や乾燥時の技術痕の観察、顕微鏡による料紙の構成繊維や填料(添加物)の観察などから、中国古文書を計量的に分析するための基礎データを得た。 2021年4月からの約一年半ほどは、2020年度と同様にオンライン研究会やメーリングリスト、さらにはクラウドシステムを活用して、研究メンバー内の情報共有を行いつつ個人ベースでの研究を進めた。フランス国立図書館の調査実施後は、調査データの整理と分析を行いこれらの情報を研究メンバーで共有し、対面やメール等で議論を交わした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究開始当初から新型コロナウイルス感染症の拡大による移動制限があった上、2022年2月からはロシアのウクライナ侵攻に伴い渡航可能な国がさらに限定されてしまった。このため、初めての海外調査の実施が研究開始から2年半余り経ってからとなった。これは、研究成果のとりまとめの時期に差し掛った段階で、ようやく本格的な調査が開始できる状態になったのと等しい。本研究の目的を達成するためには、現物資料の調査が必要であり、特に欧州に所蔵される敦煌文献や吐魯番文書の調査が欠かせないため、このような時間的な遅れが、研究そのものの遅れに直結している。 また、本研究ではロシアに所蔵される文書も調査対象としていたことから、内容の大幅な見直しが必要となった上、円安の進行と世界的な物価高騰の影響から当初積算した金額では予定していた調査が不可能になってしまった。このため調査対象資料の限定や調査日程の縮小、あるいは調査人数の縮減などの変更・調整を余儀なくされた。 以上のような外的な理由に加えて、2022年後半から研究代表者が病気療養したことにより全体の遅れが加速した。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査は継続中のフランス国立図書館に絞って行い、通常以上に事前に調査対象資料を絞り込み、短期間で効率的な調査ができるように工夫したい。 国内調査については、研究代表者・研究分担者の本務校がある関東もしくは関西になるべく限定して行い、時間的な効率化と財政的な負担の軽減を図るものとする。 研究成果の発信・公表については、コロナ禍において試みられ蓄積されたオンラインによる様々な手法を駆使して、同様に効率化と財政的な負担軽減を試みる。
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