研究課題/領域番号 |
20H01334
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
|
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
篠原 琢 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20251564)
|
研究分担者 |
戸谷 浩 明治学院大学, 国際学部, 教授 (00255621)
吉岡 潤 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10349243)
青島 陽子 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (20451388)
西村 木綿 (西村木綿) 名古屋外国語大学, 世界共生学部, 講師 (30761035)
中澤 達哉 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60350378)
米岡 大輔 中京大学, 国際学部, 准教授 (90736901)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
|
キーワード | 帝国 / ネイション / ナショナリズム / 中央ヨーロッパ / 境界地域 / 東ヨーロッパ / 国民形成 / 東欧 |
研究開始時の研究の概要 |
① 帝国近代化における辺境/境界地域の経験と帝国統治への還流:本研究は、辺境/境界地域の経験が帝国統治の近代化全体に還流するという方向性に焦点をあて、端的な経験が帝国統治に一般化される流れを解明する。 ② 帝国と諸国民の社会との相互規定性の解明:近年の研究は、帝国統治と国民社会形成の相互規定性が明らかにしてきた。本研究は、国民化する帝国のなかで、国民社会形成の経験が相互に参照されながら、帝国社会全体に還流する過程を検討する。 ③ 帝国的構成の連続性の解明:中・東欧の継承諸国を、帝国的な中心・辺境の構成を積極的に転形させながら受け継ぎ、再生 産する政体(小さな帝国)と考え、帝国からの連続性を析出する。
|
研究成果の概要 |
近年の帝国研究は帝国の抑圧性よりその包摂性を強調し、従来は対立的に捉えられてきた帝国と、帝国内外の諸国民社会(ネイション)の形成過程の相互規定性、相互依存関係が明らかにし、近代化する帝国のなかでのネイションの社会の形成の動態とその矛盾を跡づけている。こうした動向を受けながら本研究は帝国研究とネイション形成研究の接合をはかり、「帝国」と「国民国家」という類型を歴史的に再検討する必要を明らかにした。研究遂行中にロシアがウクライナに侵攻し、ロシア帝国研究に大きな衝撃を与え、古典的な帝国像とネイション解放のイメージを蘇らせたが、本研究はそれに対して批判的に対応し、帝国史の「叙述法」をさらに精緻化した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
諸帝国におけるネイション形成と近代化する帝国との相互依存関係を明らかにすると同時に、境界地域におけるその連続性を実証的に示した。帝国秩序と国民国家の連続性を強調する場合、市民権・市民概念、それと分かち難い人権概念の本質的変容を説得的に説明することが重要であるが、本研究は帝国期におけるネイション概念の社会化、統治構造への援用を示しながら、継承諸国にその実践が引き継がれながら、1920年代末から30年代にかけてそれが急進化する過程を明らかにすることができた。こうした歴史学上の問いは、ウクライナ戦争をどのように捉えるか、またその戦後秩序をどのように構想するか、という現代的課題に貢献するものである。
|