研究課題/領域番号 |
20H01340
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
|
研究機関 | 甲南大学 (2022) 京都大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
佐藤 公美 甲南大学, 文学部, 教授 (80644278)
|
研究分担者 |
服部 良久 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (80122365)
踊 共二 武蔵大学, リベラルアーツアンドサイエンス教育センター, 教授 (20201999)
田中 俊之 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (00303248)
皆川 卓 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90456492)
上田 耕造 明星大学, 教育学部, 教授 (10760621)
渡邉 裕一 福岡大学, 人文学部, 准教授 (30804314)
斉藤 恵太 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (20759196)
有田 豊 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (30771943)
田島 篤史 愛媛大学, 法文学部, 講師 (40802765)
図師 宣忠 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (60515352)
頼 順子 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (50721809)
猪刈 由紀 清泉女子大学, 文学部, 非常勤講師 (10773583)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
|
キーワード | アルプス / 中近世 / 空間的モビリティー(空間移動) / 社会的モビリティー(社会移動) / スピリチュアルモビリティー / 中・近世史 / スピリチュアル・モビリティー / 境域 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は中近世の境域=コミュニケーション空間であったアルプス地域の空間的・社会的モビリティーを統合的に研究する。アルプス地域内の各言語領域や国家を超える人の移動と知識・技術・文化の移転と循環と、社会的な上昇・下降・危機とそれらへの対応との関連に着目し、政治文化コミュニケーション空間と宗教文化コミュニケーション空間において①空間的・社会的モビリティーの相互関連②インターローカル・トランスローカルな特質とコミュニティ③移動の場と媒介(権力、メディア、きずな)④移動する主体のアイデンティティーと移動の記憶を検討し、国内外の研究協力者及び日本史・イスラム史の研究者達と協力し国内外での研究を展開する。
|
研究実績の概要 |
2021年度の国内研究会では日本学術振興会特別研究員(開催時)の神谷貴子氏を招き、アルプス地域の市民の移動についての研究報告に学び意見交換を行った。理論的研究も進め、宗教的モビリティー研究の理論、社会的流動性研究の研究史と社会移動、モビリティー・スタデイーズの理論と歴史学等の複数の観点から討論を行った。この成果の一部は猪刈由紀・踊共二・佐藤公美・皆川卓による共著論文として公表している。これらの活動過程でテーマを絞った個別的協働の有効性を認識し、セクション横断的チームで翌年度の日本西洋史学会に小シンポジウムを提案し準備を進めた。同時にイタリア・スイス大学アルプス史研究センター(LabiSAlp)との研究交流も進めた。2022年2月の国際ワークショップ'Communication Maintenance in Longue Dure'e'に佐藤公美が準備段階から参加し、当日は本科研のモビリティー研究とメンテナンス研究を接続する口頭報告を行った。この協力により新要素を統合した国際共同研究の可能性も開かれた。一方、新型コロナウィルス対策による繰越を行い2022年度中に実施した事業は以下の2件である。①11月12日、ローマ・トル・ヴェルガータ大学のサンドロ・カロッチ教授を招聘し公開講演会Stydying Social Mobility in (late) Medieval Italyを開催した。② 2023年3月15日・16日、LabiSAlpにて中間総括と今後の展望を議論する国際ワークショップ 'Spatial and Social Mobilities in the Medieval and Early Modern Alpine Regions: Pilitical, Religous, and Social Dynamics in Boundary Areas'を開催した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度中に新型コロナウィルス水際対策が徐々に緩和されたため、繰越に際して予定していた研究計画をおおむね達成することができた。延期した2件の国際共同研究企画(①サンドロ・カロッチ教授講演会、②国際ワークショップ'Spatial and Social Mobilities in the Medieval and Early Modern Alpine Regions: Pilitical, Religous, and Social Dynamics in Boundary Areas')はいずれも十分に発展的な議論を行うことができ、繰越を承認された2022年度課題のまとめに向けて緊密な国際協力を行うための中間的成果が得られたと考える。①では本科研の個別研究内容から理論の展開に還元する議論を行うことができ、②ではヨーロッパの研究協力者の参加を得て、チーム全体の中間段階の成果が共有され、今後の方向性を明確にすることができた。 また、当初計画では想定していなかった発展を活かす形で行った第72回日本西洋史学会大会での小シンポジウム準備は2022年度課題での実施につながった。 さらに、2021年度課題においては国内外に新たな研究協力関係を構築するという成果を得た。ワークショップにおいてはヨーロッパの新たな若手研究者の参加と討論による積極的貢献を得ることができた。今後も継続的に交流と研究協力を行う予定である。国内の研究者とも、国内研究会やワークショップへのオンライン参加を通じて新たな発展的交流と協力が得られ、まとめへ向けての協力を継続する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度課題で実現した国内外の研究集会の成果を踏まえ、2023年度中には研究計画全体をまとめる国際学会を開催する予定であり、既に準備を始めている。この学会では、全体を見渡す理論的参照枠を練り上げつつ、実証による個別研究をより生産的に相互に関連づけ、宗教文化セクションと政治文化セクションの独自性と共通性の総合から生まれる生産的ダイナミズムや日本史やイスラム史との比較考察という本科研チームの個性を活かして、国際的な形で成果をまとめ、さらに発展的な理論へも還元する方向で進める。この国際学会の成果をもとに、アルプス史研究センター(LabiSAlp)とも協力し、欧米言語での成果論集刊行をめざしたい。 また、2022年度課題で実現した日本西洋史学会大会小シンポジウム「モビリティーを生む書物」の成果をまとめる計画も進める。上記国際学会の全体的成果と、テーマに限定し焦点をしぼった各部分の成果との相乗効果を目指し、研究をまとめ国内外への成果還元に活かす努力を進めたい。
|