研究課題/領域番号 |
20H01347
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
久保田 慎二 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部附属国際人文社会科学研究センター, 准教授 (00609901)
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研究分担者 |
中村 慎一 金沢大学, その他部局等, その他 (80237403)
小林 正史 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (50225538)
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
大川 裕子 上智大学, 文学部, 准教授 (70609073)
宮田 佳樹 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (70413896)
板橋 悠 筑波大学, 人文社会系, 助教 (80782672)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 土器利用 / 栽培植物 / 初期王朝 / 夏王朝 / 食文化 / 土器使用痕 / 残存脂質分析 / 二里頭文化 / 雑穀 / 初期王朝時代 / 土器 / 学際研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまで明らかにされてこなかった中国初期王朝時代の土器利用の実態を、文理の壁を越えた多角的な視点から明らかにする。 特に、黄河中流域を中心に成立した夏王朝の物質文化とされる二里頭文化併行期において、主食となる穀物の種類の増加と土器組成の複雑化がともに顕著となる。また、食物を調理する火処についても、炉から竈への変化が普遍的に生じる。これらの変化は互いに連動する可能性が高い。本研究を通して、これらの複雑に絡み合った各要素を丁寧に解きほぐし、土器利用の複雑化の背景にある様々な要因を明らかにする。そして、多様な食資源の利用が初期王朝成立に果たした役割を示す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、いまだ新型コロナウイルスの影響で中国における現地調査が実施できる状況ではないため、これまでの調査で得たデータをまとめて形にする作業を進めた。特に、すでに発表した二里頭文化の深腹罐を除く、円腹罐を中心とした土器の使用痕についてデータ整理を進めた。合わせて、日本国内における古墳時代を中心とする時期の土器使用痕に関する情報収集を行った。これにより、主食となる穀物の蒸し調理に関する使用痕のデータを蓄積することができた。穀物の蒸し調理は二里頭文化でも深腹罐を使用して日常的に行われていたことを明らかにしている。したがって、古墳時代と二里頭文化の土器使用痕の比較を通して相互の類似性を確認することができ、土器の利用方法についてクロスチェックすることが可能となった。 合わせて、日本国内における雑穀利用のデータを取得するため、焼畑地帯として著名な宮崎県椎葉村における資料調査および聞き取り調査を実施した。これにより、特に日本国内の雑穀調理に関する情報を得ることができた。 また、2022年度の一部経費を2023年度に繰り越したが、それにより再度、椎葉村および五木村等の焼畑地帯における調査を研究分担者および協力者とともに実施した。また、中国社会科学院考古研究所より先史時代における年代測定、安定同位体分析の専門家を招聘し、熊本大学にて国際シンポジウムを開催した。シンポジウムを通して、コロナ禍により中国で現地調査ができない間の最新情報を得ることができ、さらには今後の中国調査の打ち合わせ等も実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により、2022年度時点では当初予定した現地調査が実施できなかったが、それまでに取得済みであった二里頭文化に属する土器のデータが多くあり、その整理を通して一定程度、当初の予定に即した成果が得られている。また、日本国内における確実な蒸し調理の使用痕情報が取得できた点も重要であり、ソバやアワなどの畑作穀物の利用事例に関する調査ができたことも大きな収穫であった。 以上より、本研究は当初の計画から遅れているわけではないため、一定程度、順調に調査が進んでいると自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
まず重要であるのは、渡航可能になり次第、中国へ現地調査に行くことである。これについては関連する研究者や中国側の共同研究者から情報収集を行いながら判断する。さらに、2022年度を通してまとめてきた二里頭文化の円腹罐に関する使用痕分析について、脂質分析などの結果を含めながら学会発表等を行っていく。 2023年度は本研究の最終年度となるため、全体の結論についても徐々にまとめていく。特に、これまで分析を行った二里頭文化の深腹罐と円腹罐の使用痕分析および残存脂質分析、二里頭文化のイネや雑穀の利用方法、民族調査を通した雑穀利用の方法などの成果を統合し、初期王朝時代としての二里頭文化における日常調理の様相を復元する。そして、本研究の最終的な結論としていく。
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