研究課題/領域番号 |
20H01387
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
村田 文絵 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (60399326)
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研究分担者 |
下舞 豊志 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (30325039)
佐々 浩司 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (50263968)
上米良 秀行 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 水・土砂防災研究部門, 特別研究員 (50470125)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 豪雨 / インドモンスーン / レーダー観測 / 夜間に雨が降る降水日変化 / 季節内変動 |
研究開始時の研究の概要 |
バングラデシュとの国境に近いインド北東部メガラヤ高地南側に、12ケ月雨量2万6千ミリという世界記録をもつ町チェラプンジがある。年平均降水量でも1万ミリを越えるチェラプンジの豪雨がどのような特異的な条件で生じるのかを明らかにする。X帯気象レーダーとGPSを設置し、本地域でこれまで得ることができなかった降水分布と気流場、水蒸気場の構造を高時間分解能で観測する。バングラデシュに洪水をもたらすモンスーン季における降水活発期の特徴や、なぜ夜間に雨が降りやすいのかについて調査する。
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研究実績の概要 |
2022年6月16日にチェラプンジにおいて,これまでの降雨記録で第3位となる約1000mmの日雨量が観測されており,その前の3日間雨量が2022年6月の中で突出して多かった。この事例に着目して,雨量分布,環境場解析,雨滴粒度分布の特徴,自動気象観測データの特徴,及びGSMaPとバングラデシュ空軍のJessoreにある降雨レーダー分布の特徴について解析した結果を5月のJpGU, 8月のAOGSの会議において発表した。また,チェラプンジをカバーする最も近いインド気象局のレーダーであるアガルタラレーダーの,準リアルタイムで画像を用いて,画素を雨量値に変換し,高時間・高空間分解能の降水分布図を作成し,その積算値をGPM DPRから得られる気候雨量分布と比較した結果,良好な対応を示した。共著者の上米良氏がこれらの解析結果を水文・水資源学会等で発表した。独自の高時間空間分解能のデータ取得を目指してバングラデシュ・ダッカ大学に設置した船舶レーダーは, 5月に設置を完了した。しかし画像取込装置に観測結果の画像が取り込めない問題が生じ,2023年3月に問題が解決し,連続観測を開始した。高時間分解能で水蒸気変動を観測するために,5月にバングラデシュ・ダッカにあるバングラデシュ工科大学,8月にバングラデシュ・シレットにあるシレット気象台にGNSSアンテナと受信装置を新たに設置し,データ取得を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年3月に観測機材のダッカへの輸送をなんとか行うことができ,今年度は船舶レーダー観測を実施する見込みであった。5月にバングラデシュを訪問し,船舶レーダーをダッカ大学気象学科の屋上に設置を完了した。しかし,1イベントを観測した後に船舶レーダーの観測画像が画像取込装置に取り込めなく不具合が起きた。8月に引き続き現地で不具合の原因究明を図ったが,問題が解決せず,画像取込装置を日本に持ち帰った。結局PC自体が故障していたことがわかり,画像取込ソフトを新しいPCにインストールし直した。11月に鹿児島大学水産学部の船舶レーダーを用いてソフトが正常に動作することを確認し,2024年3月にバングラデシュ・ダッカに再び輸送した。現地においてさらに船舶レーダーと画像取込装置間の接続ケーブルの断線が判明したが,現地で修理することができ,船舶レーダーの観測を再開した。ダッカ大学の教員に定期的なハードディスク交換と不具合時の対応を依頼することにより,連続観測が可能になった。主要な観測である船舶レーダーシステムの不具合により,研究期間を一年延長した。高精度GNSS受信装置を用いた水蒸気観測については,受信装置からのデータのダウンロードはまだ実施できていないが,シレットでは特に停電の頻発はあるものの機器の故障なくデータがとれていることを確認している。
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今後の研究の推進方策 |
船舶レーダーについて,観測データが取れ始めたため、8月にバングラデシュを訪問して,2地点に設置しているGNSS観測データと共にデータ取得を行い,初期解析を開始する。2019年7-8月のチェラプンジS帯レーダーデータをインド航空宇宙庁から入手しており,雨滴粒度計と比較してもGPM DPRとの結果と同様,+14dBZ分の反射強度の補正により妥当な反射強度分布が得られることが確認されている。このデータを用いて,この地域で顕著な降水日変化がどのような降水システムによってもたらされているか解析し,6月のAOGSでの発表及び結果のとりまとめを行う。加えて,2022年6月のチェラプンジにおける記録的豪雨事例について,これまで行ってきた当日の環境場解析に加えて,ERA5再解析を用いた過去30年間の環境場の統計解析を行い,極端な大雨をもたらした原因をさらに調査し,ICCPでの発表及び結果を取りまとめを行う。降雨レーダーを用いたチェラプンジ周辺の高分解能な雨量情報の作成に関して,インド・アッサム州の大学が中心となって作成を予定している書物への掲載に向けて執筆を行う。
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