研究課題/領域番号 |
20H01398
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中澤 高志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (70404358)
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研究分担者 |
森本 泉 明治学院大学, 国際学部, 教授 (20339576)
久木元 美琴 専修大学, 文学部, 教授 (20599914)
鍬塚 賢太郎 龍谷大学, 経営学部, 教授 (40346466)
小野寺 淳 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 教授 (50292206)
申 知燕 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (90866716)
松宮 邑子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 講師 (90885435)
笹川 秀夫 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (10435175)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 留学生 / 移動と定位 / エスニシティ / ライフコース / 別府市 / 元留学生 / 適応過程 / モビリティ / トランスナショナル / ステューデンティフィケーション / 集住なきコミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は留学生が日本への渡航を発意して日本で学び、その後の就労を通じて日本に定着していく過程について,各段階における意思決定とその背景を内在的に理解することを目指す。元留学生へのインタビュー調査に基づく研究では、アジアからの留学生がライフコースの各段階において直面する困難にいかに対処してきたのかを、親族やエスニック集団との紐帯に焦点を当てて分析する。別府市に軸足を置いた研究では、留学生の増加による別府市の変容(ステューデンティフィケーション)と関連付けながら、留学生が日本における「留学生」としてのアイデンティティを獲得していく過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は留学生が日本への渡航を発意して日本で学び、その後の就労を通じて日本に定着していく過程について、各段階における意思決定とその背景を内在的に理解することを目指す。本研究は、2つのユニットからなる。1つは、多数の留学生を抱える大分県別府市を共通の研究対象地域として、留学生の地域への適応と地域社会の側の留学生の受け止めの相互作用を明らかにするとともに、別府市を起点とする留学生のライフコースの展開を把握するものである。もう1つは、留学生の主要な送出国を主なフィールドとしてきた研究分担者が、各国社会における日本への留学の意味や留学生の送り出し機構を踏まえたうえで、留学生のライフコースを国籍別に把握し比較分析するものである。 COVID-19の影響によって海外調査は実施できなかったが、今後の調査に向けて現地日本語学校などの情報収集を実施した。国内における調査では、韓国とネパールについて、立命館アジア太平洋大学(APU)への留学生を中心に、留学の意思決定過程や別府市における生活、今後の展望などについて調査が進展した。モンゴルについては、主として日本に定着した元留学生のライフコースについて、相当数のインタビュー調査を実施した。別府市では、起業した元留学生を中心にインタビュー調査を行った。 (元)留学生を対象にした調査に加え、APUの立地に伴う別府市の変容を、学生の増加に伴う都市空間の変容を意味する概念であるステューデンティフィケーションの文脈で分析する予備作業として、小地域統計を利用して別府市の社会地図を作製・分析し、地域変容を把握するフィールドワークを実施した。理論面では、海外では留学生のモビリティや留学生を含めたトランスナショナルな移動と都市空間の関係性に関する研究を批判的に検討し、論点を提起する論文を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、メンバーのこれまでの研究経歴に鑑み、留学生の主要な送り出し国である中国・台湾(小野寺)、ネパール(森本)、韓国(申)、タイ(鍬塚)、モンゴル(松宮、研究協力者)について、各国における日本への留学の社会的意味や留学生の送り出し機構を踏まえたうえで、留学生のライフコースを国籍別に把握し比較分析することを目的の1つとしている。しかし、COVID-19の影響によって海外への渡航が事実上不可能であり、上記に関連する調査は未着手となった。 研究分担者であった立命館アジア太平洋大学の笹川秀夫氏が逝去されたことにより、当該大学の情報が得にくくなり、在学生や卒業生に公式的ルートでアクセスすることは事実上不可能になった。インフォーマルなネットワークを通じて協力者を確保してきたものの、想定外の事態であったため、研究の進捗に影響が出たことは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査が可能になり次第、留学生の主要な送出国における調査を実施する。具体的には、現地日本語学校および留学希望者などを調査対象として、日本に留学することの意味や留学生の送り出し機構を明らかにする。加えて、送り出し国において日本の大学等が展開している留学生招致の方策についても情報を収集する。留学生の卒業後のライフコースは、日本への就職のほか、帰国したり、第三国に移動したり、さらには移動を繰り返したりとさまざまである。これまでの国籍別の留学生・元留学生に対する調査は、別府市および国内在住者を対象に行ってきたが、海外渡航が可能になれば、留学生のモビリティやトランスナショナルな移動に関する理論的展開を踏まえて、国外在住の元留学生に対する調査も進める。 大分県別府市における留学生の地域への適応と地域社会の側の留学生の受け止めの相互作用を明らかにする領域の研究については、留学生および起業した元留学生に対する調査のケース数をより充実させる。ステューデンティフィケーションの文脈に沿った研究では、日本人学生と留学生のセグリゲーション(住み分け)に焦点を当て、留学生向けの賃貸物件のデータベースを作成して、その立地上の特徴を分析する。また、地域社会の側の留学生の受け止めに関しては、多文化共生教育の観点から、留学生を含めた外国人の子育て支援をしている実践について調査する。 海外での調査は実施に至っていないが、この間の国内での調査について、学会発表や論文の公表を通じて積極的に発信していく。
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