研究課題/領域番号 |
20H01415
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
堀井 聡江 桜美林大学, リベラルアーツ学群, 教授 (20376833)
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研究分担者 |
村上 薫 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究グループ長代理 (00466062)
岩崎 えり奈 上智大学, 外国語学部, 教授 (20436744)
小野 仁美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (20812324)
細谷 幸子 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (60516152)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | マスラハ / 弱者の権利 / ムスリム社会 / シャリーア / 近代国家 / マスラハ(福利) / シャリーア(イスラーム法) |
研究開始時の研究の概要 |
現代中東ムスリム社会を対象とした歴史的考察と地域研究に基づき、イスラーム法学にいうマスラハ(福利)の実践的意義を明らかにする。具体的には、①マスラハのイスラーム実定法に対する影響とその近代的変容、②チュニジア、エジプト、トルコ、イランにおける弱者(子ども、高齢者、経済的弱者、患者等)の保護や救済に関する社会的な実践に表れる①の具体的な影響、③これらの事例における「イスラーム的価値観」と近代的価値原理の関係の複合性を実証する。④その結果、社会的弱者の概念・分類や救済手段を含む現代の諸問題に関するムスリム社会の特徴が明らかになり、これらの問題に関する国際比較研究の一端となることが期待される。
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研究実績の概要 |
エジプト:昨年度に引き続き西部砂漠のオアシスを例とする農村の持続的発展に関する調査を行った。同地域には20世紀後半から技術と資本が投入されてきたが,塩害の深刻化や地下水位の低下など水資源への影響が深刻化するなかで,政府の水資源政策だけでなく,農家の資源利用・開発にも変化が現れていることが明らかとなった。 イラン:イスファハンでのアンケート・インタビュー調査に基づき,サラセミア患者の婚姻・出産行動を分析し,患者が婚姻や出産を断念するケースにおいては遺伝子の特徴,不妊症,特別な治療の要否等の身体・健康状態だけでなく,社会的な圧力が大きいことが明らかとなった。 チュニジア:同国の最高位ウラマー(イスラーム学者)にして改革主義者として知られるイブン・アーシュール(1879-1973年)の立場を再考し,男女平等を唱えると同時に,イスラーム的伝統を近代的に再解釈する形で夫婦間における性別役割分業を理想とするジェンダー規範を唱道したことを明らかにした。 トルコ:不妊治療の現状について調査した。同国は「結婚して親になることで1人前」という価値観が強く,世界的に見ても不妊治療が盛んである。不妊に対する社会的なタブー視は以前強い反面,不妊治療の普及を通じて,不妊に対する意識の変化も見られることが明らかとなった。 イスラーム法学:訴訟法における権利の可及的な保護という観点からの既判力の概念の発達を明らかにした。従来の研究はイスラーム法学における既判力の存在に否定的であったが,マムルーク朝期には当事者およびその権利承継者の権利保全のための判決手法が議論され,その一環として既判力の概念が高度に発達したことを論証した。 また計3回の研究会を実施し,「トルコの福祉国家―制度と視点」(村上),「イランにおける慈善活動と寄付」(細谷),「イスラーム法学におけるザカート(相互扶助税)」(堀井)に関する報告が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により海外調査や外国人研究者の招聘が不可能な時期があっため,当初の計画に若干の変更が生じたが,修正後の計画に沿って所期の成果を挙げつつある。
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今後の研究の推進方策 |
エジプト,チュニジア,トルコ,イラン(または在英イラン人の活動)とイスラーム法学に関する各担当者による個別の調査・研究を進めつつ,国際シンポジウム(9月)と出版物によりその成果の総括を目指す。
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