研究課題/領域番号 |
20H01441
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05070:新領域法学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
児矢野 マリ 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90212753)
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研究分担者 |
島村 健 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50379492)
森田 健太郎 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30373468)
阪口 功 学習院大学, 法学部, 教授 (60406874)
松本 裕子 (小坂田裕子) 中央大学, 法務研究科, 教授 (90550731)
帰山 雅秀 北海道大学, 北極域研究センター, 研究員 (80305937)
松本 充郎 大阪大学, 大学院国際公共政策研究科, 准教授 (70380300)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2020年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | サケ魚類の資源管理 / 持続可能な漁業 / 漁業法政策の国際比較 / 環境・生態系(水圏生態系の保全) / 先住民族 / サケ / 漁業資源管理 / 国際比較 / 水産資源保護法 / 漁獲規制 / 人工孵化放流 / アイヌ民族漁業権訴訟 / 国際認証 / 環境・生態系(水圏生態系)の保全 / 河川管理 / アイヌ民族 / 地域漁業機関 / SDGs / 先住民漁業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、法学(国際法・国内法)・政治学・水産科学の研究者が集まり、現代の日本漁業の抱える課題が集約的に現れているサケの資源管理に焦点を当て、日本の法制度と政策のあり方について、国際比較を行うと共に最新の科学的知見を踏まえて多角的な視点で評価し、直面する課題に対処するための提言を行う。これにより、SDGsの下で持続可能な日本漁業を推進するための統合的ガバナンスの構築に貢献する。また、サケの資源管理をめぐる関係各国の法制度及び政策に関するデータベースを作成し、さらに法政策と科学に係る国際的な学術的ネットワークを構築して、地球規模での持続可能なサケ資源管理の発展に寄与することをめざす。
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研究実績の概要 |
コロナ感染症問題は2021年度も収束せず、そのために2021年度の研究計画の遂行は、次年度2022年度まで時間を要した。この間、研究体制と研究基盤をより強化しつつ、オンライン(OL)を駆使し、またコロナ感染症の増減の波をぬって/状況打開を受け関係機関の訪問や国内外のフィールド調査を実施し、メンバー各自の実証分析作業も進めた。第1に、文献収集等を継続した。第2に、既に設定した研究基盤と9つの研究テーマにかかる作業状況を検証し(OL全体会合(2021年9月))、メンバー各自の分担作業を加速した。具体的には、水産資源保護法、漁獲規制の法政策、河川環境、国際認証、アイヌ民族のサケ漁業権訴訟、アイヌのサケ漁と北米先住民との比較、生態系サービスにおけるサケ、孵化放流と野生魚を含む資源管理等を扱った。第3に、多様な分野の専門家を招いてOLカフェを継続した(2021年10月、2022年1月)。第4に、コロナ感染症の状況改善に伴い、国内外での対面での関係機関の訪問やフィールド調査を勢力的に実施した。道東及び道南における資源管理と孵化放流事業に関する調査(網走漁協ヒヤリング(2021年12月)、日高管内サケ溯上動態調査(2022年9月))、アイヌ民族の生業や生活等に関する調査(阿寒湖アイヌ協会、釧路市博物館等(2022年8月))、研究協力者を含む専門家交流、国際比較にかかる実態調査、国際認証にかかる世界動向の把握のための海外調査(バンクーバー(2022年10月)、サンフランシスコ(11月)、ボストン(2023年3月))である。第5に、中間成果を踏まえた国際比較のため、米国の研究協力者との専門書合評会(2021年9月、OL)に加え、北米の専門家2名(アラスカ、米国西海岸)を招き北太平洋サケ資源管理に関する国際ワークショップを開催し、有益な知見を得た(2023年3月、OL)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、関係機関の訪問調査や現地フィールド調査を通じて入手した「生の」情報・資料・データを実証分析し、現状を評価し問題点を抽出して、課題解決のための提言を行うことを本旨としている。また、そのために国際比較により日本の法政策を相対化するというアプローチも採用している。さらに、国際規範の発展との相関関係で日本の法政策を評価することもめざしている。そのために、文献調査にとどまらず、多様な関係機関への訪問、現地のフィールド調査、海外の専門家との幅広くかつ掘下げた交流を、不可欠とする。これらは、オンラインでは代替することのできないものである。けれども、コロナ感染症問題の影響により、当初2021年度内に実施予定であった、北海道内におけるサケ溯上調査及び沿岸管理に関するフィールド調査、アイヌ民族に関する関係機関の訪問調査、また海外の関連国際機関/専門機関の訪問調査、国際比較のための海外フィールド調査が、当初の計画から大幅に遅れて2022年度後半にまでずれこんだ。加えて、ロシアのウクライナ侵攻による日露関係の悪化と、日露間の人の往来の制限により、国際比較の対象として重要であり当初想定していた、ロシアへの渡航調査及び国際ワークショップ開催のためのロシア専門家の日本への招聘を、2022年度に実施できなくなった。そのため、ロシアのサケ資源管理をめぐる法政策との比較に要する知見を得ることが、容易でなくなっている。以上の結果として、実証分析作業を十分かつ適切に進めるための資料・データの収集がかなり遅れ、ロシアとの比較分析も難しくなっている。そのため、各自の分担作業にとどまらず協働企画の遂行も困難になり、研究計画の遂行がかなり遅れているためである。
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今後の研究の推進方策 |
幸いなことに、2022年度後半からコロナ感染症問題によるさまざまな制限が緩和/撤廃され、国内外の関係機関の訪問調査や現地のフィールド調査、また少なくとも国際比較の対象としての北米やノルウェーにおける調査や関係会議への参加、これらの国からの研究者の招聘は可能となった。したがって、本年度後期から本格的に再開したそれらの活動を効率的に加速させ、研究の遅れを取り戻したい。ただし、ロシアに関しては、今後も直接的な往来が難しい状況は続くことが予測される。そのため、これまで本研究のメンバーと交流のある関係機関や専門家との間で、支障のない限り、オンラインを活用した交流を通じて必要な研究資料・データの入手を試みるが、現実的にそれが難しい場合は、やむなく可能な範囲に限って国際比較の対象にするか、または、究極的には比較対象からロシアを外すことも検討する。そして、1)当初よりも焦点を絞って各自が分担作業を進め、2)得た知見を定期的に持ち寄り議論して深堀作業を行い(日本側の勉強会を3回程度)、3)これまで構築した人的ネットワークを駆使して米国調査や国際機関(NASCO, PSC)の訪問調査を企画すると共に、カナダとノルウェーの専門家を招いた国際ワークショップを通じて国際比較も加速し、4)適宜オンラインカフェを活用して、多様な角度から専門的知見の獲得を効率的に推進して、研究を加速させて、研究成果の効果的な発信の準備を始める。
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