研究課題/領域番号 |
20H01462
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06020:国際関係論関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
草野 大希 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90455999)
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研究分担者 |
冨田 晃正 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (30781679)
勝間田 弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40579108)
舛方 周一郎 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (40734538)
近藤 久洋 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (20385959)
湯浅 剛 上智大学, 外国語学部, 教授 (80758748)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | リベラル世界秩序 / 国際秩序 / グローバル化 / 非西側世界 / アメリカ外交 / 非西側世界の国際関係 / 反グローバル化 / リベラル国際秩序 / トランプ外交 / 保護主義 |
研究開始時の研究の概要 |
西側世界で、リベラリズム(自由民主主義・市場経済・自由貿易)の拡大と軌を一にしてきたグローバル化へのバックラッシュが顕在化している。本研究は(1)その経緯や原因を米国の政治・経済面から把握し、(2)その上でnon-Western世界(東南アジア、中東、アフリカ、南米、中露)が、西側でのバックラッシュにどう対応しているのか(便乗、対抗、第三の道)を検証し、(3)それらの対応を規定している要因(市民社会、体制の自由度、貿易依存度、貧富の差、安保依存、国力)を解明して、従来の西側中心の世界秩序論とは異なるnon-Wester世界にまで分析射程を拡げたGlobal IRとしての新たな秩序論を探求する。
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研究実績の概要 |
本年度は、洋書プロジェクトに関わる研究の推進と論文執筆を集中的に行った。本年度も、昨年度に引き続き、コロナ禍が継続したため、本プロジェクトの執筆陣とは、個別に、複数回にわたりオンライン会合やメールでのやり取りを重ね、各章の論文の内容の精緻化を図った。結果的に、洋書プロジェクトの一部となる予定の次の2つの研究成果を国際学会(ISA:International Studies Association)において発表した。 (1)西側で顕在化する反リベラル国際秩序や反グローバル化の動きに対して非西側世界がどのような「対応」を行うのかに関する本研究独自の3つの行動類型を提起した。①illiberal bandowagoning、②counter balancing、③third wayの追求である。 (2)西側におけるバックラッシュの象徴となったトランプ政権誕生に至るまでの過程を「米国によるリベラリズムのグローバルな拡散の盛衰」と位置づけ、その過程が、冷戦終結時のブッシュ(父)政権からトランプ政権にかけてどのように展開したのかを考察した。リベラリズムの三つの柱である、①リベラル民主主義、②自由貿易、③多角主義がどのように拡散され、且つそれらがどのように打撃を受けたのかを明らかにした。 草野と勝間田は、これらの発表を行うとともに、洋書プロジェクトに関わる他の執筆者との親密なやり取りを通して各章の内容の詳細な検討を行った。さらに、草野は、学術誌『国際安全保障』特集号(「歴史」の中のトランプ外交)の責任者として、反リベラルを標榜するトランプ外交の考察を行った。冨田は、洋書の担当章に関わる研究に加え、米国の保護貿易台頭に関わる雑誌論文を発表した。舛方は、洋書の担当章に関わる研究に加え、ブラジルのコロナ対策や気候変動政策等についての研究成果を出版や口頭発表を通して公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度も新型コロナウイルス感染症の影響により、海外出張はできなかったが、洋書プロジェクトについては、海外の執筆陣を含め、かなりの進展が見られたからである。本書のIntroductionとChapter1に関連する内容は、基本的に、上記のISAでの発表内容に重なるものである。他方、非西側世界の対応を検証する章については、次の知見が得られつつある。エジプトのシーシ政権とブラジルのボルソナーロ政権においては、米国でのバックラッシュに便乗する“illiberal bandowagoning”が発生した。ASEANと日本については、トランプ大統領の反自由貿易路線に抵抗し、各々が自由貿易を主導してゆく“counter balancing”といえる反応が示された。ロシアと中国については、それぞれ純粋な「便乗」というよりも、“third way”としての地域的秩序構築が目指された。
洋書プロジェクト以外でも、草野は、『国際安全保障』特集号の責任者として、トランプ外交によって揺らぐリベラル国際秩序を考察(本人担当)したことに加え、米国の通商政策、日米同盟関係、米国の中東政策、米中関係に関する論文の取りまとめを行い、バックラッシュ時代の米国外交の歴史的意義を幅広く調査した。同特集号にも寄稿した冨田は、反グローバル化を掲げるトランプ政権の通商政策の特徴を、保護貿易の伝統も含む米国通商政策史の文脈から考察した。舛方は、トランプを敬愛し、反リベラリズムの傾向が強いボルソナーロ政権のコロナ対策や温暖化対策を含む、幅広いブラジル政治外交についての研究成果を数多く発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、洋書プロジェクトを完成に向けた作業を進めるとともに、研究代表・分担者の各自が行う研究を遂行し、学会や学術誌等での成果発表を行うこととする。 加えて、研究代表・分担者は、反グローバル化を緩和させ、リベラル国際秩序の復活を公言したバイデン政権下の米外交および国際秩序にも注視することとする。とくに、2022年2月に勃発した、ロシアによるウクライナ侵攻は、バイデン政権によって「自由民主主義陣営と権威主義陣営との戦い」としても位置けられており、その影響がリベラル国際秩序の動向にも及ぶことは避けられないだろう。西側においてリベラリズムの復権が図られるのか、非西側世界はそれにどのように反応するのか、といった論点にも注意を払う必要がある。 最終年度の2023年度は、洋書プロジェクトの内容とバイデン政権下の動向を踏まえた国際シンポジウムを日本において開催し、本研究の総括を行う予定である。
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