研究課題/領域番号 |
20H01476
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
工藤 教孝 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80334598)
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研究分担者 |
花薗 誠 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60362406)
宮本 弘暁 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (10348831)
田中 頌宇将 金沢星稜大学, 経済学部, 講師 (00847965)
尾山 大輔 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00436742)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | サーチ理論 / 産業構造 / 労働市場 / 景気変動 / 価格支配力 / 産業組織 / 格差 / 市場支配力 |
研究開始時の研究の概要 |
2010年のノーベル経済学賞の対象となった「サーチ理論」は、微小な粒子同士のランダムなぶつかり合いとして経済活動を再定義することで市場の「摩擦」をモデル化することに成功した。しかしながら、「微小な経済主体」という世界観は分析上の制約になることも多かった。本研究は、「企業規模」という概念をモデル化することを通じてサーチ理論を大きく発展させ、世界規模で進む市場構造の変質、特に近年報告されている市場支配力の上昇や労働分配率の下落などの現象を、産業組織、景気変動に伴う雇用調整、所得分布の視点から解明する。
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研究実績の概要 |
プロジェクト1:摩擦的市場における企業規模 本プロジェクトは、研究代表者が長年研究してきた「サーチ理論」を「産業組織論」に応用するという方法を採用し、産業組織論をサーチ理論を通じて再構築するプロジェクトである。研究分担者との共同研究の成果を「Priminence and Market Power: Asymmetric Oligopoly with Sequential Consumer Search」という論文にまとめ、現在国際ジャーナルにて査読中である。ジャーナル編集者や査読者から得られたコメントや批判を踏まえ、論文を改定し終えており、現在は改訂版の審査結果を待っている状態である。改訂版では、産業構造をランダムに生成して厚生評価を行うというシミュレーション分析を新たに取り入れた。 プロジェクト2:摩擦的市場と景気変動 研究代表者と研究分担者による共同研究の成果をすでに3本の論文にまとめており、それぞれ国際ジャーナルに投稿中である。「General Equilibrium Effects and Labor Market Fluctuations」では景気変動における「所得効果」の役割について数量分析を行い、「Robots and Unemployment」では、技術進歩によって雇用が失われる可能性について理論分析と数量分析を行った。これら2本の論文では、企業規模概念のあるサーチ理論でありながら数理モデルの難易度を下げることに成功している。さらに、年度末には「Time Aggregation and Unemployment Volatility」という論文を完成させ、労働市場統計の集計上のバイアスが景気変動を過小に計測してしまう可能性についてシミュレーションによって明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画で完成予定であった論文は年度内に完成していないものの、その分析中に得た着想から、当初全く予想していなかった新しい研究が始まり、結果として年度内に別の新しい論文を完成させて投稿することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は本研究課題にとって折り返し地点となるだけでなく、年度の後半に研究代表者がサバティカル(研究専念期間)を得るため、研究代表者が分担者とともに蓄積してきた多数の分析を一旦全て論文にまとめる作業に取り掛かる計画である。
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