研究課題/領域番号 |
20H01492
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柳瀬 明彦 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10322992)
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研究分担者 |
玉井 寿樹 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (00456584)
古川 雄一 中央大学, 経済学部, 教授 (50510848)
荒 知宏 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (80648345)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | インフラ整備 / 制度設計 / 貿易費用 / 生産性 / グローバル経済 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル経済の安定的かつ健全な発展の鍵を握る「貿易費用」と「生産性」という2つの要素に着目し、それらに影響を与える社会的基盤である「インフラ(産業基盤や生活関連の社会資本)」と「制度資本(教育、司法、政治システム、文化など)」の構築・整備のあり方を検討する。これにより、経済学の諸分野における発展と、現実の各種インフラ整備戦略および制度設計における方向性の提示と政策の立案に対する貢献を目指す。
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研究実績の概要 |
「インフラ整備と貿易費用」「インフラ整備と生産性」「制度設計と貿易費用」「制度設計と生産性」の各テーマについて理論モデルの構築と分析を行い、分析結果の現実経済との整合性の検証を通じてグローバル経済におけるインフラと制度資本の構築・整備の在り方を検討した。 研究代表者は、インフラ整備と貿易費用および生産性に関して、(1)公共インフラが存在する貿易モデルにおける貿易パターンや貿易利益の分析、(2)寡占的に行動する大企業と独占的競争の下で行動する小企業とが混在する状況における、寡占企業の研究開発投資による公共資本ストック形成の動学的投資ゲームの分析、(3)異質的企業の存在する産業内貿易モデルにおける、政府間の輸送インフラへ投資の動学的政策ゲームの分析を行った。(1)に関しては国際学術誌への論文発表と学会発表、(2)と(3)に関しては国際ワークショップや国内学会での発表を行った。また関連する研究として環境資源ストックの生産性効果が存在する下での国際貿易の効果に関する論文を国際学術誌に発表した。 研究分担者は、インフラ整備と生産性に関して、生活基盤投資を中心として国際資本移動・経済成長に関する研究や、生産性ショックと再分配効果の基礎研究を行った。制度設計と生産性に関して、1760年代~1980年代に3つの産業革命がほぼ等間隔で発生した歴史的事実を説明する新しい2次元エルゴード・カオス理論を構築した。また、シュンペーター流成長モデルの枠組みで政府のレントシーキング行動が経済発展を阻害する可能性を示した。制度設計と貿易費用に関して、中間財と最終財がともに企業選抜を通じて貿易される状況における貿易弾力性や貿易自由化の厚生利益の比較や、輸入と輸出を同時に行っているグローバル企業が経済厚生に果たす役割を考察した。各研究成果は査読誌掲載論文やワーキングペーパーとして発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に直接的・間接的に関連した多くの研究成果を発表することができた。特に、査読付き国際学術誌に10本の論文が(中でも、インフラと貿易の分野に関する論文がCanadian Journal of Economicsに、インフラや制度設計と経済成長・発展に関する論文がProceedings of the National Academy of SciencesやJournal of Macroeconomics, Journal of Population Economicsに、また関連研究もEnvironmental and Resource EconomicsやReview of International Economicsに)掲載された。 未公刊論文についても、国際学会で研究報告を行ったり、ディスカッションペーパーの形で公表するなどの形で発表している。これらの論文についても今後の改訂により、査読付学術誌への掲載やその他の形で公表できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は計画年度の最終年となるため、「インフラ整備と貿易費用」「インフラ整備と生産性」「制度設計と貿易費用」「制度設計と生産性」の各テーマに関する理論研究の総括を行う考えである。3年間の研究で得られた分析手法を応用・拡張すると同時に、これまでの研究で残された課題について引き続き考察し、研究計画最終年度も研究成果の国内外での報告および査読付き論文雑誌への掲載を目指す予定である。 具体的な研究テーマとしては、研究代表者はインフラ整備と貿易費用に関して、異質的企業の存在する産業内貿易モデルにおける政府間の輸送インフラへ投資の動学的政策ゲーム分析の論文を完成させる。また、インフラ整備と生産性について、開放経済の下で公共インフラを各国政府が戦略的に決定する状況において、政策ゲームのナッシュ均衡とその貿易パターンや貿易利益に対する含意を明らかにし、論文を完成させる。また、制度設計と貿易費用に関連した研究として、開放経済下の公共政策・環境政策の効果に関する理論分析の結果を論文にまとめる考えである。 研究分担者は、インフラ整備と生産性に関して、地域間の資本移動・労働移動を考慮した動学経済モデルを用いてインフラの生産性効果を理論的・実証的に分析する。制度設計と貿易費用に関して、中間財生産企業と最終財生産企業のマッチングを考慮に入れた垂直的な生産・貿易構造の下での最適関税のあり方を明らかにする。制度設計と生産性について、マクロレベルのビジネス・ダイナミズム(企業の参入・退出の活発さ)の決定要因を経済成長論の文脈から諸制度との関連において解明する。 以上の各自の研究テーマについて、可能な限り研究代表者と分担者全員で随時連絡を取り合い、各自の研究の進捗状況についての確認と意見交換を行う。そして互いに助言や協力を適宜仰ぎながら、研究の円滑な遂行に努める予定である。
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