研究課題/領域番号 |
20H01493
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
田中 勝也 滋賀大学, 経済学系, 教授 (20397938)
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研究分担者 |
西澤 栄一郎 法政大学, 経済学部, 教授 (30328900)
上條 良夫 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40453972)
堀江 哲也 上智大学, 経済学部, 教授 (40634332)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 環境政策 / 成果連動支払 / PFS / 生物多様性 / 持続可能性 / 成果連動型支払 / 生態系サービス支払い / グリーンインフラ / 経済実験 / 選択型実験 / 農業環境政策 / 農業環境支払い / PbR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、生態系保全と農業強化の両立性を実証するため、農業環境政策に成果連動支払(PbR)の仕組みを導入することを検討する。PbRの下で、成果を出すための創意工夫が農業イノベーションを誘発することを示すとともに、そのための制度的条件・受容性を解明する。事例分析、経済実験、計量分析を組み合わせたアプローチにより、パイロットPbRの制度設計をおこない、対象地域に社会実装することを目標とする。 本研究の遂行により、PbRが農家のボトムアップ型イノベーションを誘発することで、生態系保全・農業強化の両面に貢献することを示す。得られた知見は農業環境政策だけでなく、公共政策全体の改善に資することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、環境政策における成果連動型支払い(Payment by Results (PbR), またはPay for Success(PFS))の導入がイノベーションの創出に与える影響について、経済実験と計量分析の両面から分析することを目的とするものである。経済実験では、PbRを農業に応用する際の重要な課題として、行動に対する短期的な成果の不確実性をあげることができる。それゆえ、適切な行動をとったとしても成果が伴わず、適切な行動をとらなかったと誤って解釈される余地が残される。そこで、選択が誤って解釈されうる環境下での人々の選択の動的変化を観察するために、実験経済学では最も標準的な公共財供給ゲームにおいて、行動の結果が誤って表示される可能性のあるような実験課題を作成した。およそ150人の学生を対象として実験を実施済みであり、現在は結果の分析を行っている。 計量分析では、石川県羽咋市を対象に、仮想的なPbRシナリオに基づくアンケート調査を行い、農家のPbRに対する受容性と、PbRを有効に機能させるための諸条件について分析した。また、本研究では農業だけでなく都市におけるグリーンインフラにも分析対象を広げ、米国オレゴン州ポートランドにおいて地元大学および自治体との連携による現地アンケート調査を行った。緑溝(バイオスウェル)の維持管理に関する支払いおよびボランティアについて、PbRの要素を取り入れた選択型実験を行い、必要なデータを年度末までに収集した。次年度第1四半期には分析結果をまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はコロナ禍の影響により当初から研究方針の見直しを余儀なくされたが、経済実験については、事態の沈静化に伴い人を集めた実験を実施する状況に戻っており、残る課題を最終年度の遂行する方針である。 計量分析も同様に研究項目の見直しが必要となったが、分析アプローチや対象地域の見直しを進めることで対処している。その一環として、石川県羽咋市および滋賀県湖東地域でアンケートに基づく表明選好分析をおこない、PbRに対する受容性を確認した。今後は、PbRを有効に機能させるための条件を特定し、必要な制度設計と政策提言をおこなう予定である。 また、農業環境政策の枠を越えて都市のグリーンインフラにおける成果連動型支払いの可能性を検討したことで、当初の計画では想定していなかった副次的な研究の波及効果を得られつつある。この流れを維持することで、次年度の研究成果を取りまとめていく方針である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得た結果を取りまとめるとともに、収集したデータで未解析の部分の処理を進め、PbRが農家や一般市民に受容され、環境改善と地域イノベーションにつながるための条件を特定する方針である。それらの知見を取りまとめ、PbRを公共政策として機能させ、持続可能な発展につなげるための処方箋を政策提言することが、本研究の最終的なゴールである。
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