研究課題
基盤研究(B)
生態学的にも地質学的にも多様な地域において,いかに小農経済は生き延びることができたのか。あるいは逆に,今や風前の灯となっている小農経済,その衰退の根本原因は実は産業革命期における地域把握の決定的な転換にあるのではないかという仮説を,江戸・明治期そして大正期に残されている地誌の環境史的比較研究から検証する。経済史・環境史研究を基軸に,日本の近世近代文書研究,歴史地理学的な地理情報システム研究,そして気象学的解析からなる協働研究は,太陽光に基づく植物の光合成によるエネルギー創出を起点とする有機経済が地域の発展にいかに効果的であったか,あるいは何を起因にいかなる過程でそれが放棄されたのかを実証する。
3年間の研究計画として次の三つの課題を有していた。そこに2022年7月19日に雨量モデルのデータセットが公開され,1 kmメッシュの可視化復元が可能となった。本研究には決定的なデータセットの登場であり,研究期間を一年延長して,新たな課題に取り組みことにした。そこで,それぞれの課題を記述した後に,[実績]として,今年度の実績を叙述することにする。① 明治15年頃の地誌叙述の数量化に基づく地図化によって,地域環境を可視化する。[実績] 洪水・旱魃に関しては,さらなる可視化の精緻化を進めつつ,例えば,2004年10月20日の台風災害時の雨量変化などを参考にして,これまでの可視化作業の点検を行った。また,昨年度,加佐郡の旧版地形図をもとに,土地利用GISデータの地図化を進めた結果を受けて,2023年7月29日に舞鶴地方史研究会でワークショップを開催し,地元の方々のご意見を聞く機会を設けた。② 地誌から地図化することのできる地域環境の諸要素の中で、例えば、洪水・旱魃リスクは、気象条件並びに水文学的な河川条件などとの関係が深く,地誌叙述の自然科学的な検証を行う。[実績] 現時点での検証結果に関しては,東アジア環境史学会(EAEH 2023)での研究発表を行った。また,現在データおよび過去の気象ならびに水文学的なデータに関しても整理を進め,新たな視点からの理系と文系の協働した論文作成を進めた。③ 有機経済的な基盤とその差異に関する実証研究において、村落単位の叙述は明治の町村合併によって大きく変化する。一村落そして複数の村落の持続性をいかに評価するか。[実績] この点,令和3年度までに遂行した史資料のデジタル化に基づいて,2023年4月にWEB「まるまる舞鶴」で「田辺藩土目録」「京都府地誌 加佐郡村誌」などのデータ・コラムを公開した。今後の分析あるいは論文作成等に大いに役立つ成果である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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